HAREM SCAREM (2008) / HOPE
haremhope.jpg  1. Watch Your Back
 2. Time Bomb
 3. Hope
 4. Days Are Numbered
 5. Dark Times
 6. Beyond Repair
 7. Never Too Late
 8. Shooting Star
 9. Calm Before The Storm
 10. Nothing Without You
 11. Stranger Than Love (acoustic)

とうとう訪れてしまったこの時。HAREM SCAREM、ラスト・アルバム。12th。
HAREM SCAREMというバンドに強く深い思い入れがあることはコチラから3回連続で記したとおり。解散が決まってメンバーのモチベーションが下がることは予想済みだったので、本作「HOPE」を聴くに当たっては特に何の期待もせず、試聴も一切せず、黙って買ってただただ素直に身を任せてみようと考えていた。最期をしっかりと看取るのもファンの義務だもんね…。

一聴したのち、自分でも意外なため息がこぼれた。アルバム全編に渡って切なさが途切れることなく持続するハーレムの作品を聴いたのは果たしていつ以来のことになるのだろう。いい。凄くいい。

音楽的には復活作「WEIGHT OF THE WORLD」以降のモダン・メロディック・スタイルのごく真っ当な延長線上にある作風。前作「HUMAN NATURE」と比べると特にヴァースにおいてダークな印象が先に立つが、そこはさすがに職人集団HAREM SCAREM、サビまでたどり着けば従来のファンの好みを意識した外向きのメロディをきちんと味わえる。このダイナミックな対比の妙こそが本作の肝じゃなかろうか。また前作で言うところの“Reality”とか“Starlight”、あるいは“Going Under”のような幾分陽性のパワー・ポップ曲が見当たらないのも個人的にはありがたい(いや、決して悪くないんだけどねそういうのも)。ハリー・ヘスのサバサバしたインタビューなんか読んだってちっとも悲しくならなかったんだもの、せめて音楽では感傷的な気分に浸らせてよ…という僕の非常に独りよがりな欲求をかなりの割合で満たしてくれる哀感たっぷりの秀作に仕上がった。

ダーク路線といえば「OVERLOAD」を思い浮かべる人もいるだろうが、今回はハリーのVoから余計な力みが随分と抜けているのが最大の違い。それからアルバム全体を通してテンションがほぼ一定だった「OVERLOAD」と比較すればそれなりの起伏が感じられる点もね。僕個人は「OVERLOAD」も“元祖・問題作”の「VOICE OF REASON」も好きだけど、それらより体感上のヘヴィさを抑えた本作はどの層のハーレム・ファンにも好意的に受け止めてもらえるのではないかな。本編が40分弱と必要以上にダラダラせずコンパクトなのもプラスに働いている。

もう聴かれたファンの方々、最近のハーレムにしては珍しいほどのドラマ性を打ち出してきたバラード“Shooting Star”で不覚にも涙がこぼれてしまったのは僕だけでしょうか?テーマ的には関係ないのだろうけど、どうしてもこのタイトルとバンドの終幕が重なり合ってしまって…いかんですね。

さておき、“Watch Your Back”、“Days Are Numbered”(佳曲!)、“Dark Times”あたりでは実に正統的なあのハーレム節が聞かれる一方、シリアスな“Beyond Repair”や変ちくりんなリズムが妙に耳を引く“Never Too Late”、ちょいとメタルなヴァース~ブリッジ(なんだか“Forgive & Forget”みたい)から一転してサビメロの開放感が何とも心地よい“Calm Before The Storm”などを配することで、散漫にならない範囲でのバラエティの豊かさも提示しており、楽曲単位で細切れに眺めてみてもやはり充実した内容を誇っているアルバムだと思う。「VOICE OF REASON」が苦手な人は一瞬ギクリとしそうな“Time Bomb”や“Hope”も十分にポップな良いサビメロを持っている。ラストは必殺の“Nothing Without You”で再び涙目に。天才バラード・メイカー、ハリー・ヘスここにあり。

それから。ピート・レスペランスのGもおかげさまで今回はかなりヘン。もちろん最上級の褒め言葉よ。音の選び方は大きな凸凹を帯びているのに、それに反して耳馴染みは実に滑らかな彼の個性的なサウンドをいつも以上に満喫できて嬉しい。ピロピロと弾いてもちっとも嫌味にならず、そのメロディを思わず口ずさみたくなるセンスの良さときたら。ピート本人にベタなギター・ヒーローになることへの野心が薄かったのはなんとも惜しいところだ。もちろん、あくまで楽曲志向のプレイを貫くのが彼の大きな美点でもあるんだけどね。

さらに。コチラでも書いたとおり、「MOOD SWINGS」収録曲で1・2を争うくらい大好きな“Stranger Than Love”をアコースティックで再録してくれたことにも少なからず感激。当然ながらオリジナルの衝撃を超えるものではないにせよ、これがまた往時の雰囲気をそのまま再現しているかのような出来に仕上がっていて驚いた。新曲と同時にレコーディングしたとはとても信じられないくらい。改めて、ハーレムの音楽の核そのものは最初から最後まで不変であったことを思い知る。

随分とシンプルな音作りや普段より控えめなコーラス・アレンジに関しては賛否が分かれそうだし(どうやらダレン・スミスは不参加のようだ、残念ながら)、僕とは逆にもっと溌剌とした曲を聴きたかったリスナーからは不満の声が上がるかもしれない。しかし、相変わらずの安心印とそれなりの実験性とを無理なく両立させているという観点で見れば、「WEIGHT OF THE WORLD」以降のハイレベルな作品群の中でもトップクラスの出来だと僕は思う。ああ、聴く前はまさかこんなに褒めることになろうとは予想だにしていなかったよ。

「なんで『HOPE』っていうアルバム・タイトルにしたかって?それはそういう曲があったからさ」とか、「“Shooting Star”は単なるラブ・ソングだよ」などと平気で言ってしまうハリーの感覚は個人的な好みから言えばどうしたって素直に認められない、僕に言わせればバンドへの感情移入たっぷりなファンに対して無神経とさえ思えるメンタリティなのに、最後の最後にこんな作品を残されたらやっぱり憎めるわけがないじゃないの。これが惚れた弱みというものなのか。


僕は特定のバンドに強い帰属意識を持ったり、無条件に忠誠を誓うタイプのリスナーではない。HAREM SCAREMはそんな自分にとって数少ない例外的なバンドだ。こんなに素晴らしい作品ばかりを残しても時代は決して彼らに味方をしてくれなかったが、せめて僕だけでも、その音楽に勇気付けられ、微笑まされ、心の底から感動したファンの一人として、これからも機会があるごとにハーレムの魅力を語り継いでいけたらと思う。とりあえずお疲れ様。そして本当にありがとうね。


おまけ:個人的ハーレムランキング

1. 「MOOD SWINGS」
2. 「HAREM SCAREM」

3. 「WEIGHT OF THE WORLD」
4. 「BIG BANG THEORY」
5. 「HOPE」(暫定)
6. 「HIGHER」
7. 「HUMAN NATURE」
8. 「VOICE OF REASON」
9. 「OVERLOAD」
10. 「BELIEVE」
11. 「ULTRA FEEL」

12. 「RUBBER」

「BELIEVE」の順位が低すぎる?いや、僕は名インスト“Baby With A Nailgun”からヌル~い“Morning Grey”へ落とす展開にどうもアレルギーが…(笑)。ともあれ、一枚を通して聴くのが辛い「RUBBER」を除けばどの作品にもそれなりの思い入れがあります。今回の記事はいつも以上に思い込みの激しいど乱文になっておりますが、どうぞお許しくださいませ。

【2008/06/26 21:47】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
はじめてコメントします。
よしよと申します。当ブログにコメントいただき、ありがとうございました。
僕もHAREM SCAREM大好きです。「HOPE」は未聴ですが、ランキング6位までは全く同意見ですね。「BELIEVE」は「HIGHER」と同じくらいのお気に入り度ですが。

むーじゅさんのレビュー文章からHAREM SCAREMへの愛情が滲み出てますね。僕もこのバンドに元気付けられた一人なので「本当にありがとう」と言いたい気分です。
【2008/06/28 10:44】 URL | よしよ #-[ 編集] | page top↑
よしよさん、こんばんは。
ご訪問&コメントありがとうございます。

よしよさんもハーレムのリスナーさんだったんですね。何ともうれしい驚きです。

ハーレムの音楽にはどのような層のHR/HMファンにもアピールしうる普遍的かつ絶対的な力が宿っていると信じています。甘酸っぱくて、切なくて、時に少しひねくれてて…。特に多感な時期の10代のファンに一度は触れてもらいたいですねー。あの頃の僕と同じように。

解散の決断は実に惜しいですが、彼らが残してきた功績の大きさをしっかりと語り継いでいこう!と、決意を新たにしているところです。

非常に雑多で統一感のない拙ブログですが、また折りを見てぜひ立ち寄ってくださいね、お待ちしています。
【2008/06/28 23:16】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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