すみません、ヴォーカルの方チェンジでお願いします。
僕はHR/HMを聴くときにまずはヴォーカル・パートに集中します。典型的なヴォーカル党なのです。したがって、その音楽の印象を左右するのが第一にヴォーカルの出来不出来であることも当然なのです。

よって、他のパートだったらある程度たどたどしくてもメロディさえよければ我慢できる自分ですが、ヴォーカルに関してはそうも参りません。良くも悪くもメジャー志向の軟弱な男なのです。そうした自分の性向を理解しているがゆえ、(またお金もあまりないので)かなり厳選してCDを購入する僕ですが、それでも往々にして泣き笑いの小悲劇は起こります。

ということで、この記事ではお怒りになるファンの絶対数自体がそもそも少なそうなバンドの半ヘタレ作品をいくつかチョイスし、「嗚呼、ヴォーカルさえまともだったら…」と、静かな嘆きの声をあげてみたいと思います。
その1 「ああっ、惜しい!」
BALANCE OF POWER (1997) / WHEN THE WORLD FALLS DOWN
CENTAUR (1994) / POWER WORLD
NATION (1994) / CHASED BY TIME
TOUR DE FORCE (1995) / WORLD ON FIRE


曲が素晴らしいだけに、もう数段上のレベルのVoで歌っていたらどれほどの作品になっていたことか、という切なさがしみじみとこみ上げる4枚。CENTAURのコレはロニー・アトキンスやハンズィ・キアシュあたりに歌わせてみたかったねえ。好盤2nd「WITHOUT REMORSE」でも同じ問題を抱えていたNATIONに対し、この1stのあとすぐに実力十分のランス・キングを加入させたBALANCE OF POWERの「BOOK OF SECRETS」は緊張感あふれる流石の出来栄えで勝ち組へ。その後ジョン・Kが出てったあとはどうなったんでしょうねBOP?解散?

その2 「ひとりでできるもん…!?」
VINNIE KAY (1993) /.WHERE DO WE GO FROM HERE

こちらのヴィニー・ケイ様は、Vo・G・B・Key・Ds(打ち込み)までお一人でこなされてしまう、まさにスーパー・マルチ・ミュージシャンであらせられます。が、それだけじゃありません。B!誌の藤木さんも大絶賛だった(レビューで93点!)素晴らしい作曲センスまでお持ちの、まさに天が二物・三物を与えたもうた稀有なお方なのです。事実、洗練された産業ロック路線の楽曲の数々は僕の心をも完全に虜にしたと言っていいでしょう。

…が、しかし、その、その、終始うわずる微妙に不安定な歌唱は何なのさ、ケイ様よ!

とまあ、ついつい恨み言がもれてしまう。曲があまりにも素晴らしいのでいくらかは目をつぶれるけど(確かに味はあるVoだ)、何でも出来る器用さがゆえに引きどころを少々誤ってしまった天才の小さな悲劇として、僕は彼のことをきっと忘れないでしょう。ああでも、もしもこれをスタン・ブッシュやジョン・ウェイト級のオトナ声シンガーが歌ってたら…ねえ。

ちなみに、もう一人の天才、ダニー“ポマード・メタル”ダンジーさんの「SOMEWHERE LOST IN TIME」にもややこうした傾向あり。

その3 「デスる前にはメシを食え」
ETERNAL TEARS OF SORROW (2001) / A VIRGIN AND A WHORE
THRONE OF CHAOS (2000) / MENACE AND PRAYER


キレるんならきちんとキレてくださいよ旦那。

その4 「八つ当たり」
CODE (2007) / THE ENEMY WITHIN

ここのオッサンVoは例外的にまったく下手じゃなくてむしろ上手い部類に入るんだけど、どんなに頑張ったところで、あの超絶ハイトーンVoのピーター・スンデルの代役にはなれないっしょ。何が言いたいかというと、GRAND ILLUSION再結成大祈願ってこと!前にも書いたけど!

その5 「歓喜から絶望へ…」
ATHENA (1995) / INSIDE, THE MOON

本記事はこのアルバムのためにあると言っても決して過言ではない、イタリアのプログレ・メタル・バンドの1st。まるで“Pull Me Under”や“Surrounded”のイントロを彷彿とさせる幻想的な音像のもと、情感豊かで繊細、かつ浮遊感あるセンス良いKeyフレーズが僕の期待を煽りに煽る序曲~2曲目の冒頭。いまの基準で聴けば相当ショボい音作りだが、結構そういうところに寛容(鈍感?)な僕は「来た来たっ!」とワクワクしながら歌メロを待ち構えていた。こりゃーメタル者3年目くらいの僕(当時)が予備知識なしで掘り当てたプログレ・メタルの傑作への目くるめく予感ッ…!?ん?ん、んんっ~??……はあ~ん????

そしてしばしの沈黙。えーっと、ATHENAの皆さん、僭越ながらわたくしから一言よろしいですか?

こ れ は ひ ど い 

どうやら2ndからはあのファビオ・リオーネ(現RHAPSODY OF FIRE)を加入させたらしいが、弱点に気づくのがおそいっての。歌モノ好きの僕が、聴きながら「頼むからオール・インストにしてください…!」と半泣きで懇願したのは間違いなくこのアルバムだけ。表現力もへったくれもない、別の意味で浮遊感漂うVoが全~部ぶちこわし。神をも恐れぬこの仕打ち、どMのメタラーにはたまらんでしょうなあ。いや、柔和で上品なインスト・パートは本当にいいんです。インスト重視派のプログ・メタル・マニアの諸兄には特にこの豊潤なKeyアレンジを聴くためだけにでもオススメしたいところではあるが…。当時は巷でどんな評価をされていたのでしょうね、コレ。ファビ夫のVoといまの録音技術で全パート再録リメイクしてくれないかなあ。

以上、輸入盤のヴィニー・ケイ様以外は、すべて国内盤が発売された90年代以降の作品群を取り上げてみました。しかし、ピンからキリまでHR/HMバンドが玉石混交状態だったと思われるあのメタル全盛期の80年代にレコード漁りをしていた先達の苦労を思えば、一応は聴ける作品ぞろいの上記リストに文句を付ける僕なんぞまだまだ甘ちょろいのかも知れませんね。僕が80年代以前の作品を聴くときには(これが後追いメタラーの美味しいところでもありますが)一般に好評価が定着した作品に手を出すことが殆どですから。改めて、先輩方の試行錯誤の歴史に感謝感謝であります。


テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2008/04/17 08:55】 | 音楽語り | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
私だったらまず筋肉少女帯を挙げますね。笑
VINNIE KAYはVo.を雇え!と私も思います。
私の場合Vo.よりも音楽隊を重視するので、そこまで気にはなりませんが…。
【2008/04/17 09:16】 URL | Metalaholic #vdXS97RM[ 編集] | page top↑
Metalaholicさん、こんにちはー。あまりに早いコメントにビックリです(笑)。

橘高マニアなMetalaholicさんからすればその意見はごもっとも。僕はそれほど筋少を聞き込んだことがないので大きなことは言えませんが、確かに大槻さんのアレには賛否ありそうですよね。間違いなく面白い歌い手ではあるなと、こないだ「人として軸がぶれている」を聴いたときに思いました。

それから!まさかヴィニー・ケイの話題に乗ってくれる人がいるとは思いませんでした。しかもMetalaholicさんはおそらく僕と同年代くらいですよね?いやー聴いている人もいるもんですね。嬉しいなあ。

そうです、僕も雇いなさいと思います…が、Dsも打ち込みで済ませた方なのでおそらく予算に無理があったのでしょう(笑)。
【2008/04/17 09:54】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
こんにちは。
解散したけどストラトヴァリウスの小ティモは合わないと思った。小ティモは歌は下手じゃないけど、明らかに大ティモの作る曲のキーが高すぎて苦しそうだった。もうちょっとヴォーカルの声域にあった曲を作ってやれといつも思っていました。

関係ない話ですが、大ティモ、アクセル、デヴィン・タウンゼントのように躁鬱病の人間がリーダーやっているバンドのメンバーは大変だなぁと思います。病気を患っている本人は苦しんでいるのはわかるのですが。
【2008/04/25 13:18】 URL | 通りすが郎 #/5Bg5sjM[ 編集] | page top↑
どもー。こんにちは。

そうそう、ストラトは解散したそうですね、大ティモが一方的に声明文を出したのだそうで。ナムナム。

僕も小ティモさんの歌唱には時折?マークが点灯したクチですが、確かにあれは作曲者の問題でしょうね。「高く、もっと高く!」っていうシンガーへのご指示はインギー様だけの専売特許ではないようで(笑)。

名前の挙がった3人に関しては、バンド・メンバーだけでなくファンも彼らのニュースに一喜三憂(?)して大変に苦しかろうと思います。特にガンズ・ファンの忍耐力はもはや仙人級かと(笑)。
【2008/04/25 15:45】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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