スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA (2008) / THE SCARECROW
AVANTASIA.jpg 1. Twisted Mind
 2. The Scarecrow
 3. Shelter From The Rain
 4. Carry Me Over
 5. What Kind Of Love
 6. Another Angel Down
 7. The Toy Master
 8. Devil In The Belfry
 9. Cry Just A Little
 10. I Don't Believe In Your Love
 11. Lost In Space


BFMVやTRIVIUM、あるいはA7Xらが良くも悪くも各所で持ち上げられる昨今、実は「メタルの未来」のことばにもっとも相応しい気もする正統派メロディック・メタル界の貴公子といえばこの人、「飛美明日」ことトビアス・サメットのプロジェクトAVANTASIAの第三弾。前2作にも一応耳は通しました。

AVANTASIAプロジェクトのもっとも大きな特徴、それはトビアスという“シンガー”が主導権を握っているという点にあると思う。古くはトム・ギャレーのPHENOMENA、最近ではニコロ・コツェフのNOSTRADAMUS、ダニエレ・リヴェラーニのGENIUS、アルイエン・ルカッセンのAYREONなどなど、ゲスト多数参加型・人海戦術的ロック・オペラの製作にあたってイニシアチブを握るのは概してVo以外の存在であることが多かった。考えてみるとAVANTASIAのケースはきわめて稀である。

さて、そうした性質を持つAVANTASIAの新作におけるトビアスのコンセプトは「多士済々のVoたちに自分の作った曲を気持ちよく歌ってもらう(あるいは一緒に気持ちよく歌う)」から、「自分の歌いたい曲を豪勢に盛り上げるために他のVoに手伝ってもらう」へと、いわば自己中心的な方向へ若干のシフト・チェンジがなされているように僕には聴こえた。この変化をどう受け止めるかによって評価もかなり異なってくるだろうと思う。

素晴らしい点として、自分の作りたいように自由に作ったためなのかどうなのか、トビアス・サメットの創造力の高さ・アイディアの豊富さが前2作以上にはっきりと感じ取られることを挙げておきたい。足場そのものはヘヴィ・メタルの領域にきっちりと固めて聴き手に安心感を与えつつ、その「メタル」の概念を外向きに拡大していこうとする保守と革新のバランスがなんとも絶妙だ。メロディック・パワー・メタルの忠実なジャンル・ファンをがっかりさせないと同時に、普段「メロパワうぜえ」と考えるようなリスナーを辟易させないような大小の工夫がしっかりとなされている。

特に、少しサラ・ブライトマンやらの世界を思わせる静かに劇的な“What Kind Of Love”や、女性Voの浮遊感がいとしさと切なさを上手い具合に煽る4分弱のシングル曲“Lost In Space”ではソングライター・トビアスの新たな可能性を垣間見られて嬉しかった。この人の曲作りの才能は“キャッチー”という概念を極めて客観的に把握しているという点で、この手の一群から突出していると思う。決して一人よがりになることなく、常に聴き手の求める快感を想定して作曲しているのがフック満載の曲の数々から非常に良く分かる。

こうしたアルバムの充実を認める一方でやや残念な点を挙げるとすれば、「メタル・オペラ」の大仰な冠を外したためか、ゲストVoの個性と個性のぶつかりあいという観点からすると、(曲調も含めて)従来のダイナミックさと開放感を少なからず減じていると言わざるを得ないことだ。

例えば、前作収録の大作“The Seven Angels”は、ゲストVoたちが自らの個性をあらわにしてマイクに噛み付くような熱唱をそれぞれ披露、その豪華な畳みかけと、そこから生まれる高揚感を聴き手に届けることこそが、このプロジェクトの最大の目標であり、また最高の美点なんだなと思わせた、まさに名曲中の名曲だった。僕個人はこの方向でAVANTASIAの可能性を切り開いていくことを期待していた。

本作においては、「歌う鬼」ことヨルン・ランデに曲の終盤で奔放に歌わせまくった長編“The Scarecrow”がそれに近い一つのヤマだと思う。ただ、この曲の魅力は複数のVoの棲み分けと、そこから見せる融合と分離のダイナミズムではなく、多分にヨルン個人のハイパーな資質に拠っており、“The Seven Angels”のあの魅力とはやや異なった色合いを帯びているのが少しもどかしくもある。

つまり、ゲストの数を単純に以前より減らしたことも鑑みて「なぜ、そのゲストがこのパートで必要なのか」というAVANTASIAならではの課題をクリアするために、なおのこと熟慮を重ねる必要があったのではないかというのが僕の意見。特に個性派ロイ・カーンやオリヴァー・ハートマンの使い方はやや中途半端で勿体無い。このあたりはもう少し「自分が歌いたい!」というVoとしてのエゴを抑えてもよかったのではという気がする。

まあ、こういう半ば言いがかりともいえるようなダメ出しは、若き天才トビアス・サメットならばこの音楽形態を次なる段階へと進化させることが出来るはず、と信じるがゆえのワガママなので聞き流していただいて結構。各所で評価されているように作品のクオリティの圧倒的な高さには是非もなし、皆さんもぜひご一聴をば。そして次回作に早くも期待。


テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2008/02/25 10:40】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<先日の買い物 (ROYAL HUNT etc...) | ホーム | 夜中の独り言>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://mooju.blog121.fc2.com/tb.php/47-7d843cbf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。