AVENGED SEVENFOLD (2007) / AVENGED SEVENFOLD
A7X.jpg 1. Critical Acclaim 2. Almost Easy 3. Scream
 4. Afterlife 5. Gunslinger 6. Unbound (The Wild Ride)
 7. Brompton Cocktail 8. Lost 9. A Little Piece Of Heaven
 10. Dear God 11. Almost Easy (live)



アメリカはオレンジ・カウンティ出身の新世代メタル5人組待望の4th…なんちゃって、僕は前作「CITY OF EVIL」(外盤)しか持っていないし、それを聞いた上で「今回はまあパスしてもいいかな」とさえ思っていた不敬きわまりない人間なので、レビューはまあ話半分に。

「CITY OF EVIL」はなんと欧州型メロディック・パワー・メタルを主なモチーフにした作風であり、アメリカの俗に言うメタルコア・バンドとしては非常に珍しいアプローチがクールで悪そうなルックスとともに注目を集めた。日本盤のリリースは遅れに遅れたが、発売後はかのB!誌でも大プッシュされ、モダンなHR/HMに造詣の深い大野さんはともかく、小澤さん(僕はこの人の「今月のおすすめ」欄を見て外盤を購入)や前田さん、さらには藤木さんあたりまでもが賞賛していたことからも分かるように、音楽嗜好の異なるリスナーにも満遍なく対応する懐の深さ・守備範囲の広さを有していたことは間違いない。ツイン・ギターを最大限利用したメロディアスな楽曲と、叫ぶことよりも歌い上げることを選んだシンガーの存在もあいまって、日本でも概ね好評を博し、メタル・ファンのみならず幅広いロック・ファンにその存在をアピールしたと言える。

しかし、僕は現在でも各所で大絶賛された前作をそこまでの出来とは思っていない。率直に言って過大評価だと思っている。以下、簡単にその理由を。

まず、楽曲展開が冗長だったことが大きくマイナスだった。製作時点で持っていたアイディア・ひらめき・妄想を全部ぶち込んだはいいが、僕のように集中力のない聴き手は途中でどうしても飽きてしまう。僕は頭6曲だけをiPodに入れているが、当然その後の楽曲がガクンと出来の落ちる凡曲というわけではない。どの曲にもグッと拳を握らせる展開が用意されてはいるものの、そこに至るまでが結構苦難の道というか。とうとうと溢れ出すギター・メロディのセンスや閃きに胸を打たれればこそ、なんとも惜しいなと思っていた。

それから、欧州メロパワをモチーフにしていながらも、「こいつら本当にこういうメタルが好きでやっているのか?ネタじゃねえの??」という疑問を僕としてはどうしても拭い去れなかったことも認めなければならない。インタビューでもガンズやMETALLICA、PANTERAなどがアイドルに挙げられていて、本人たちの音像との乖離にいやな予感がした僕にはバンドの立ち位置の曖昧さが妙に不安に思えてしまったのだ。だから、質の高いメロパワとして割り切ってのめりこむことも能わず(Dsの軽さや音像の浮遊感にはやはり少々の違和感が…)、かといって彼らの本質がレコード会社の嘯くような「ガンズの再来!」的バッド・ロケンロー・バンドだとしたら基本的には僕の興味の外にあるし…。質の高さは認めるものの、聞いていて何とも名状しがたい居心地の悪さを同時に感じたのが前作だった。

で、本作「AVENGED SEVENFOLD」。好評だったメロパワ路線は大幅に後退し、さらに雑多な広義のメタル/ロックに成り下がったと否定的に捉えることも出来る。誤解を恐れずに言えば、よりアメリカン・ロックにシフトし、そしてルックスと音楽性の開きを随分と縮めた作品だ。が、僕の聴後の印象は非常に良い。特にメロパワ/メロスピに強い思い入れを持っていない身としてはむしろありがたい変化だとさえ言える。場面展開の忙しさはそのままに曲をコンパクトにまとめたのも大正解だが、本作はアルバム全体の音楽的拡散が進んだにもかかわらず、一曲一曲のアルバム内での存在意義がより明確で、それぞれの曲の役割が聴いていて非常によく分かるのが大きい。前作は例えば#1~#5は一つ一つ取り出して単体で聴けば燃えるのだが、続けざまに聴くと似たような楽曲の羅列に思えて冷める瞬間が多かった。本作ではキャラの異なる楽曲を交互に配することによってそうした弱点が見事に克服されている。

シャカシャカしたリズムとギターのうねりが心地いい#3、とにかく「ヘンな曲!」の長編#9(まあこれは必ずしも好意的な意味だけではないが)、そして単なるメタル・オタク・バンドには到底書けないであろう大らかで土っぽいバラード#10など、彼らの特異性を示す興味深い楽曲が目白押し。また(どちらかというと)前作路線の#4、#6、#8における細やかなアレンジも、前作でのストリングスやクワイア、アコギ導入のとってつけたような唐突さがなく、ごく自然に仕上がっていて素晴らしい。特にドラマティックな#6は起承転結がハッキリとした出色の出来で、個人的には#10ともども名曲と言って差し支えない。

もちろんメイン・メロのウラで激しくピロピロするギターは健在だが、前作から引き継がれたこの美点はむしろ今回のような広義のメタルの音像の中でこそ生かされると感じた。メロパワ・メタルとピロピロ・ギターの相性が最高なのは言うまでもないが、一方でそれはある種の軽薄さと紙一重だと考えている僕のような聴き手には、そのギターを最大の武器にしながらA7Xがさらなる高みを目指すためには、今回の音楽性の変化は必要不可欠だったとさえ思える。

またM.シャドウズのヴォーカルも存在感を大幅に高めた。特に出だしの#1~シングル曲#2のツカミのよさは彼の求心力に拠るところ大。前作でも声質のよさは際立っていたものの、'Beast And The Harlot'を始めどこか軽~く歌っているような印象も受けたが、今回はどの曲でも彼の硬軟自在の歌唱がいい意味で耳に残る。ライブテイク#11は聴衆に挑みかかるような熱さがかっこいい彼こそがまさに主役だ。

と、いうことで個人的にはびっくりの成長に感心しきりのメタル・アルバム。一度も視聴せずにパスしようとか考えていてすみませんでした。A7Xを叩きたいがためにだけ叩いている人々の意見に流されず、一度は自分の耳で聞いて確認してみましょう。前作よりもむしろ本作のほうが、より広範なロック耳の持ち主にアピールするのではないかな。僕からもお奨めです。次回作以降の動向も実に楽しみになってきたぞい。



完全に蛇足ではあるが、内容にメタルの「メ」の字も出てこない某・有島博志氏のライナーには笑わされた。やっぱこの人って基本的に何の節操のない軽薄な日和見ライターさんなんだなあと再確認。この音楽をしてメタルの要素に一言も触れないなんてどう考えても誠実な態度ではないと思う。まあ「彼らをあえてメタルとしてアピールすることはしない」というレコード会社のセールス戦略を汲んだんだろうけどね。僕はHR/HMがもっともっと幅広い層に聞いてもらえたら嬉しいという願望を持っている人間だし、だからたかがライナーごときにこうして憤っているという狭量な面は決して否定しないけれど、このライナーに関してはそんなこと以前の問題。確かな耳を持っていれば、そしてこの音楽を素晴らしいと思って執筆を引き受けたのであれば、メタルに一切の言及をせずしてA7Xを語るなんてありえないと考えるのが普通ではないのかダンカンこの野郎。

腹立ちついでにもう少し。この人はもともとメタル・ライターでありながら(創刊まもないB!誌でPRETTY MAIDSの「RED,HOT,HEAVY」を高評価してた。今では信じられない!)、90年代のメタルの凋落を機にヘヴィ・ロック(笑)やラウド・ロック(笑)に鞍替えした人なのかなあと、ライナーに名前を見つけるたびに思っているが(90年代中盤は「peaceville」関連のゴシック・メタル・アルバムにも書いてたかな)、最近ではどうやらメタルコアやエモ(笑)がメシの種のようで。彼が一度は「切った」メタル・ミュージックがまた徐々に市民権を獲得していくとは予想していなかったんだろうけど、そろそろみっともないことはやめたら?とため息交じりに肩をたたいてあげたくなる。まあ、A7Xのようにメタル的な要素を持っているが、かといってセーソク氏やらB!の編集者なんぞにライナー書かせてメタル色が色濃くなってはセールス的にまずい、と考えるレコード会社さんからすれば都合の良い御用達ライターってことでツブシがきく存在なのかな。うん、きっとそうだな。あー、なんだかすっきりした。以上、メタル村民の独り言でした。キモイね!

【2007/11/30 19:38】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
A7Xはさりげなく「メタルバンドである」と表明しているのにね。

>ヘヴィ・ロック(笑)やラウド・ロック(笑)に鞍替えした人
メタルではないオルタナ(死語)なヘヴィ・ミュージック全般を取り上げるGRINDHOUSEもアメリカのメタルコアブームとヨーロッパのメタル人気復活で微妙な雑誌になっちゃいましたからねぇ。あの雑誌もメタルコアを取り上げる時はどうしてもメタルの部分を語らないといけないのに無理にハズして語ろうとするんだよな。有島が育てたライターはメタルはダサくて旧態依然という90年代の思想に染まりきってそっちの知識もないんだろうけど。
【2007/12/01 21:49】 URL | 通りすが郎 #/5Bg5sjM[ 編集] | page top↑
通りすが郎さん、初めまして。コメントありがとうございます。

僕も前にGRINDHOUSEなんちゃらを立ち読みしてみたのですが、やはりメタル系バンドのインタビューには歯切れの悪さを感じましたね(確かA7Xだったと思いますが)。突っ込んだ話をするには必要不可欠なはずのメタル要素に触れることをタブー視しているのか、話がまったく深まらず上辺だけをなぞっているという印象でした。まああの雑誌は流行りモノを浅く広く、そしてお洒落に紹介ってスタンスなのでしょうから妙なこだわりは邪魔っ気なだけですか。

「メタルはかっこいい(要素もある)音楽だ」とひとこと認めてもらえれば僕もここまで責めません。もちろん音楽の好みは人それぞれですが、彼のように現在のメタル・ミュージックの恩恵に少なからず浴している人間であれば、それに対して最低限の敬意は払うべきだと思います。オイシイところだけ都合良く掠め取るのではなく。再転向の謗りを受けたとしても、今のまま風見鶏状態を続けるよりよっぽどマシではないでしょうか。

なんちゃって、また他人事にこんなに字数を費やしてしまいました。僕はもしかしたら彼のことがホントは嫌いでないのかもしれませんねー(笑)。
【2007/12/02 01:44】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
何日も経ってから返信めいたことをしてすいません。
周知かもしれませんが、有島氏のコラムとGRINDHOUSE勢のBLOGを見つけたのでここで話したくなったんです。

http://www.ongen.net/recommend/rock_michi/
http://www.ongen.net/blog4/

面白いのは有島氏と仲間達がヘヴィ・メタルを取り上げていること。彼らがメタルについて語っちゃいかんとは言いませんが、有島氏のアティテュードに問題があるので引っかかるわけです。
それにGRINDHOUSEのBLOGで“(LOUD PARK07の)お客さんの年齢層が高いということ(笑)”は一言余計だ。ロッキンオン記者がメタル系アーティストにインタビューする時に見せるような悪意を感じたぞ(苦笑)。
オヤジがロック聞いたりライブに来ちゃいかんのか!!(怒)還暦を過ぎてロックしているミック・ジャガーやレミー、ディオは恥ずかしいのかよ。

キモい毒吐いてしまいましたが、彼らの行為を見ていると何かモヤモヤした気持ちでいっぱいになるんだよ。この気持ちどうしてくれよう(笑)。俺は90年代のメタル冬の時代で捻くれて僻み根性になったのかもしれないが(苦笑)。
【2007/12/08 21:51】 URL | 通りすが郎 #/5Bg5sjM[ 編集] | page top↑
通りすが郎さん、おはこんばんは。コメントはいつなさって頂いても歓迎です。どうもありがとうございます。いくらか酔っ払って浅い眠りから覚めてしまったこんな時間に携帯から記しています(実は自宅にネットを繋いでいなくて、いつも書き込みは学校のPCからなんです。お金ないんで/笑)。

僕は彼らのHP・ブログをお恥ずかしながら知りませんでしたので、こちらもご紹介に感謝します。

コラム&ブログにざっと目を通してみて、有島さんがいにしえのロックを取り上げて語っている点には素直に好感を覚えました。単純でしょうか。若い子たちに本気で聞いてもらいたいと思っているのか、自分の懐の深さを誇示しようとしているのかは判然としませんが、ともかく僕は少し見直しました。

その一方で、僕もやはりいくらかのモヤモヤを感じたんですが、多分その理由は「今後、メタルが80年代のような人気を取り戻しても、また逆にしょうもない音楽として再び叩かれようとも、どちらに転んでも対応できる」彼(ら)の如才無さ、というか芯のなさが散見されるからかな、と感じました。何て言うか、メタル・バンドに対する賛辞はその殆どが注釈つきなんですよね。未だに逃げ道を用意しているっていうか。まあ、僕のこれも彼(ら)の器用な立ち回りに対する僻みかも知れませんね。

余談ですが僕はロキノン誌がGRINDHOUSE誌よりもさらに苦手でございます(笑)。編集長さんが「これを聞いている人は“ロック偏差値”が高い」云々とのたまっていらっしゃるのを見て「うあ…」と軽く引いたクチです。確かアンドリューW.Kのデビュー時の記事だったと記憶していますが。この例に限らず、あの鼻に付く選民思想の高さはどうにかなりませんかねー。音楽の趣味に好き嫌いはあれど、貴賤や上下関係はないはずなんですけど。同様に他ジャンルの音楽に対し極めて排他的・攻撃的なごく一部のメタル狂さんにも困ってしまいますが。何かを好きになることって、その代わりに何かを嫌いになることではありませんよね。

脱線しました。僕がいまから7年前にふとした出会いからメタルを聴き始めた時、そのジャンルがどんな立ち位置にあって、どんな扱いを受けているかはまったく気になりませんでした。その音楽が格好いいから聴いてた、単純にただそれだけでした。メタルを取り巻く環境をある程度把握した現在も基本的には同じです。通りすが郎さんのようにメタル受難の時代を身をもって経験したわけではありませんから、あるいは先輩の方々より思い入れが少ないのかも知れませんが、これからも「好きなものは好きなんだ!」の姿勢を貫いていきたいものです。

……とは言うものの、当ブログの最初にも記したのですが、僕は周囲に自らのメタル属性を殆ど明らかにはしていません。もちろん、だからと言って人前でメタルをバカにしたり貶めたりはネタでもしませんが。そんな僕なのでこの有島さんの在り方については個人的に深く考えさせられるものがあります。

最後に、トシを食ったらロックは卒業!みたいな考え方はまったくナンセンスだと思います。年齢層が高い云々は、文脈的にしばしばそのことを揶揄するような用いられ方をされますが、何なんでしょうねあれは。ご紹介にあったGRINDHOUSEに限らず、実はかのB!誌の毎年の2月号でもセーソク氏やら編集長さんやらが自分のことを棚に上げて(笑)それを憂えるような対談とかしてますけど、もっと若い層に参入してもらいたいというギョーカイちっくな願望が、勢い余って昔からのファンへの失礼な態度に繋がるのは感心しませんね。僕は自分にない考えや経験・技能を持っている人が(先輩・後輩を問わず)大好きなので、通りすが郎さんにもまた折を見てコメントを頂ければ嬉しいです。

はっ……!気付いたらもう外でスズメが鳴いてる!いやー、よくぞこの分量をケータイで打ったなあ。親指が大変に疲れましたのでひとまずこの辺で。これからお昼過ぎまで惰眠を貪ることにいたします(笑)。
【2007/12/09 06:44】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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