SHY (2011) / SHY
shy.jpg 1. Land Of A Thousand Lies
 2. So Many Tears
 3. Ran Out Of Time 4. Breathe
 5. Blood On The Line
 6. Pray
 7. Only For the Night
 8. Live For me
 9. Over You
 10. Sanctuary
 11. Save Me 12. Union Of Souls


他にもレビューを書きたい作品はあるのだけど、今日はこれ。どうしてもレビューを書かなければならないような使命感に駆られるほどの凄みがあるから。英国の叙情派ハードロック代表、SHYの新作はセルフタイトル。

(2011年11月3日、追記しました。)

巷ではさほど話題になっていなかったような気もするが、2005年の前作「SUNSET AND VINE」は僕の愛聴盤だった。このジャンルにしては珍しくどの曲も5分をゆうに超える長丁場の作品でありながら、そのマッタリ加減も耳に心地よい和み系メロハーの秀作で、いまでも時折手が伸びる。しかしバンドの看板だったトニー・ミルズはその後TNT加入のためにバンドを脱退。それからしばらくは音沙汰なく、はてさてどうしたものかと思っていたらば…いやあ、これは見事な復活劇ですよ、マジで。

音像の変化は1曲目のはじめ1分を聴いた段階で明らか。そのタイトルからしてハードボイルドな“Land Of A Thousand Lies”だから、新生への意気込みが伝わってこようというもの。前述の和み系な感触はグッと後退し、時として緊張感さえ漂う正調ブリティッシュ・ハードロック色が強まっている。これがまた何ともカッコいいのだ。しばしば「攻め」の姿勢さえ感じさせるジョー・バスケッツのKeyもこの路線によくマッチしている。

SHYがこうした方向性を選択したのは、間違いなく新Voのリー・スモールとの出会いがあってこそだろう。この人が本っ当に逸材で、その歌声に宿るソウルはヨラン・エドマン先生のそれに近く、場合によってはあの歌神グレン・ヒューズさえ彷彿させる…とまで言ったら褒めすぎだろうか。B!誌のレビューでは「いささか線が細い」なんて書かれているが、少なくとも僕にまったくそんな印象はない。昨今のHR/HMシーンにこのタイプの歌い手は貴重だ。リー・スモール、この名前をぜひ頭の片隅においてあげてください。

そして…中心人物であるスティーヴ・ハリスのGプレイが絶品すぎて…ことばが出てこない。特に、練りに練られたフレージングで聞かせる長編ソロの数々は、油断していると息が止まってしまいそうなほど。今年のベストギタリストはジョン・ペトルーシで文句なしだ!と思った矢先に強力すぎる対抗馬が現れたものだ。はるか昔の「EXCESS ALL AREAS」の頃から知る人ぞ知る名手だったし、前作でも素晴らしい仕事をしていたけど、今回の彼のプレイにはそれこそ鬼気迫るほどのエモーションが込められている。どうやら最近はあまり体調が優れないようだが、一日も早い全快を心から祈りたい。

ということで、この「SHY」は最高のシンガーと最高のギタリストのソウルがガチでぶつかり合うドラマティックなハードロックを聴きたい諸兄なら間違いなく買いの傑作です。これほどのオーラを持った作品が従来のSHYファン、そして一部のメロハー・ファンにしか聞かれないようでは勿体ない。ここはひとつ騙されたと思って、どうか購入をご検討あれ。

最後にひとこと。6曲目の“Pray”は2011年を代表する名曲として殿堂入りが僕の中ですでに決定済み。初めて耳にした際、あまりの感動にしばらく時が止まりました。


(追記)

僕がこの記事をブログに載せたその10月29日に、闘病中だったスティーヴ・ハリスの逝去がアナウンスされました(http://www.shyonline.co.uk/)。もちろん虫の知らせがあったわけではありません。けれど、この作品についてどうしても何かを書き留めずにはいられない、そんな衝動に強く駆られたことが、決して単なる偶然ではなかったような気持ちでいます。本当に素晴らしい音楽を最期に残してくれました。ありがとう、スティーヴ・ハリスさん。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2011/10/29 01:20】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
突然のコメント失礼します

SHYのアルバムを昨日買って感動してまして、さっきこのブログを見つけて読んでたのですが、
ヨラン・エドマンの名前が出てきたのを見て、同じ考えの方がいたと思ってしまいました。

しかしホント凄くよくできたアルバムですよね。
【2011/11/18 23:54】 URL | KATSUKUN #-[ 編集] | page top↑
KATSUKUNさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

やっぱりヨラン先生に似ていますよね?特に3曲目の“Run Out Of Time”とか7曲目の“Only For The Night”といったマイルド系の曲で聞かれる美声は、彼をどうしても思い出させます。僕はこの1枚でリー・スモールという歌い手が一気に好きになってしまいました。SHYというバンドで彼の声を聴くのはこれが最初で最後になってしまうと思いますが。。。スティーヴ・ハリスの遺作という特別な意味合いを差し引いても、多くのHR/HMファンに聞かれるべき快作ですね。
【2011/11/20 19:42】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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