DREAM THEATER (2011) / A DRAMATIC TURN OF EVENTS
dreamtheaterevents.jpg 1. On The Backs of Angels
 2. Build Me Up, Break Me Down
 3. Lost Not Forgotten
 4. This Is The Life  
 5. Bridges In The Sky
 6. Outcry
 7. Far From Heaven
 8. Breaking All Illusions
 9. Beneath The Surface



おそらく今年のメタル界で最大の話題作。プログレメタル開祖の面目躍如たるDREAM THEATER(以下DT)の新譜。
このバンドの音楽的/ビジネス的司令塔・兼スポークスマンであったマイク・ポートノイの衝撃的な脱退を乗り越えて発表された本作。彼の後任には、これまた話題を呼んだ激難関のオーディションを経てマイク・マンジーニが迎えられている。付属のDVDにオーディションの総集編が収められているので、買うなら字幕のついた国内盤をぜひ。

はじめに一聴して、まるで枷が取れたかのように(と表現すると、これまでずっとDTの原動力だったポートノイに対する敬意にいささか欠けるかもしれないが)生き生きと躍動する音が強く印象に残った。おそらくポートノイ主導でここ数作に持ち込まれた過度にヘヴィなアレンジやミーハーな要素の中には、確かに面白い試みもいくつかあったけれど、僕にはその大半がガサツでデリカシーに欠けるものだと思えたので、そうした異物感や押し付けがましさのほとんどないDTの音楽をこうして聴けるのが本当に嬉しい。

その結果、あの「IMAGES AND WORDS」を随所で彷彿させるような瑞々しさと、「メタルであること」にこだわりすぎない重さとが、非常にバランスよく両立した音像を作り出すことに成功している。インストパートにいかにも音楽エリートなインテリっぽさや、高踏的な雰囲気が戻ってきているのもグッド。

注目のマンジーニはおそらく死ぬほど難易度の高い演奏をこなしているのだろうが、それをこれ見よがしに主張しすぎることもなく、サラリと他のメンバー4人の中に溶け込んでいる職人っぷりが実に素晴らしい。おかげでジョン・マイアングのベースの音も以前より聴き取りやすくなっている。あるいは単にDsの音量を適度に下げただけなのかもしれないが、それだってポートノイがイニシアチヴを握っている間はいわばタブーだったろうからね。

そして忘れてはいけない。ポートノイがいなくなってさらなる重責を担うことになったジョン・ペトルーシの奮闘ぶりが本当にお見事なのだ。上でも挙げている「バランス感覚」こそが本作最大の美点だが、そうした舵取りの中心がプロデューサーも兼任したペトルーシだったことは想像に難くない。特にジェイムズ・ラブリエの「うた」にもう一度焦点を当てて、彼の類まれなる美声がより映える音域の曲ばかりを用意した思慮深さに拍手。そしてひとりのプレイヤーとしても、深い深い感情を込めた劇的なGソロを連発するさまには完全に脱帽した。

本作がDT史上最高傑作だとまではさすがに言わない。革新性よりもDT健在の安堵感を狙ったマイルドな方向性に納得の行かないプログレッシヴな諸兄も少なくはないだろう。それでも、バンドの内外から計り知れないほどのプレッシャーがかかる状況の中で、新メンバーとともに再出発を期する作品としては最高レベルの出来栄えだと僕は思う。どの曲にも希望を歌うような清々しいパートが組み込まれていることに、現在のバンドのポジティブな充実ぶりが映し出されているような気がする。ああ、次回作がいまからもう楽しみでならない。

そうそう、あえて楽曲単位のレビューは避けたが最後にひとつだけ。バンド史上に残る名曲としてこれから末永く愛されるであろう“Breaking All Illusions”のイントロが流れてきた時の感動は、おそらく僕の今年の音遊生活のハイライトになるだろう。ありがとう、新生DREAM THEATER。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2011/10/22 17:17】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
メンバー交代でどうなることやらと思ったけど、スルメアルバムになりつつあります。
最近のDTの中ではお気に入りになりつつあります。
【2011/10/25 16:40】 URL | thunder #OARS9n6I[ 編集] | page top↑
thunderさん、こんばんはー。

本作は「バランスの良さ」そして「自然体」がキーワードでしょうか。正直まだまだ冗長さは残っていますが、ラブリエの無理をしない美唱と、控え目に叙情を主張する優しげなメロディの数々にリピートを誘われています。迷いなく「これは好きだ」と言えるDTの作品は久しぶりです。
【2011/10/26 20:26】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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