HAREM SCAREMについて色々と考えてみる(その2)
         harem scarem old


とうとう解散という道を選んだHAREM SCAREMに、とりあえずは「お疲れ様」と言うべきなのだろう。後追いの僕は、日本デビュー後のハーレムが実際にどのような扱いをされていたのか、90年代当時の雰囲気(熱気/冷気)を正確に知る術を持たない。が、簡単にバンド史をまとめるだけでも彼らが様々な紆余曲折を経てきたことが理解できる。

 2ndでの衝撃の日本デビューとそれを受けての1st発売、問題作とされた「VOICE OF REASON」への毀誉褒貶、待望の初来日で披露したパフォーマンスへの賞賛と「BELIEVE」でのすぐさまの軌道修正、その甲斐あってのビッグ・イン・ジャパン化の進行とシングル/関連商品の濫発、突き抜けるR&R感覚で一本スジを通した名作「BIG BANG THEORY」からライト・ポップ路線「RUBBER」への大転換、そして改名騒動人気者ダレン・スミスの脱退とクレイトン・ドーンの加入、再びHAREM SCAREMを名乗るも、ゴタゴタを機に「切った」ファンが多かったのか、昔ほどの広範な支持は得られず…。

もし、「MOOD SWINGS」が日本で評判になっていなかったら、彼らが何の制約もなく思いっきり自らの欲求の赴くままに音楽を作っていたら、「BELIEVE」以降のアルバムはどうなっていただろう…なんて夢想もするが、なんのことはない、おそらくバンドは存続していなかっただろう。職業作曲家、スタジオ・ミュージシャン、あるいはエンジニアなどとしても十分にやって行ける底力があるのだから、何も無理してハーレムを続ける必要はない(今回の決断もそういう考えの上だろう)。日本を主な市場にしていたからこそ、バンドはここまで生き残れたのだ。結構地味なアピアランスなのに B! 誌の表紙を飾ったこともあるくらいなのだから、90年代半ばの日本での人気は極めて高かったはず。しかし、その人気と引き換えに彼らは日本人ファンの好みに合う音楽を作り続ける義務を負うことになってしまった。

ファンの間でその理想像として常に尊ばれ続けてきたのが、1st「HAREM SCAREM」と2nd「MOOD SWINGS」である。特に2ndは究極の名盤としてB!誌でもたびたび取り上げられる(個人的には2nd1stって感じ。ま、エベレストかK2かってなもんですよ)。そして、極端なことを言えば、HAREM SCAREMの歴史の大半はこの2枚の亡霊との終わりなき戦いでもあったのだ。

一方のバンド側はといえば、例えばB!のインタビューなどでも「僕らの一番のお気に入りは『VOICE OF REASON』と『RUBBER』だ」と公言してはばからない。言うまでもなく、この2枚は一般的にファンの間で問題作扱いされることが多い作品である。また、「なぜ『MOOD SWINGS』に対する熱が冷めないのか分からない」「(「MOOD SWINGS」を)気に入ってくれるのは嬉しいけど、こっちが前進したがっているときに、ファンが既に耳にしたものを聞きたがるのはちょっと苛々した」(以上、「WEIGHT OF THE WORLD」発表時のピートの発言、B!2002年4月号より抜粋)などの発言からあるように、彼らの「MOOD SWINGS」に対する思い入れは僕たち日本人ファンのそれよりもずっと微少で、そこには悲しくなるほどの開きがある。こうした顕著な温度差はどこから生まれてきたのだろうか。

これはおそらくバンドとファンが考えるHAREM SCAREMというバンドの立ち位置の差でもあるのだろう。B!最新号でもハリーがSILENT FORCEとのカップリングをいぶかしがっていたように、彼らはHR/HMの枠の中に無為に放り込まれることを、キャリア全体を通してどうにか避けようとしてきたフシがある。それなのに、古き良き伝統の保持を積極的に歓迎する(=下手な路線変更を好まない)日本のHR/HMファンを主な客層として獲得してしまったことが、器用貧乏のケもある彼らの誤算の始まりだったのだろうか。まあ、ポップでラジオ・フレンドリーな「RUBBER」がカナダではウケたという本人談から判断すれば、日本のメタル者の過度な期待が伸び行く彼らの足を引っ張っていたような気がしなくもない。

しかし、彼らの音はとにかく、ウルサイ。それはライブを見れば一目(一聴?)瞭然だ。あの音圧ではとてもとてもお気楽なポップ・バンドになんてなれやしないのだ。移り気な大衆にも色目を使いたい(―売れたいと願うのは当然の欲求だが―)本人たちがなんと言えど騒げども、HAREM SCAREMは間違いなくHRバンドである。そして、HRバンドとしての最高到達点はどこかと考えてみれば、やはりポップ×爽快×哀愁の三拍子がそろった1stであり、その理想的な発展形たるドラマティック極まりない2ndを挙げるのが相応しいということになるのではないか。もう少しだけ、続く。

今日のBGM
Jealousy / HAREM SCAREM

moodswings.jpg 決して目立つ曲ではないが、今日はあえてこれ。3rd以降、様々な音楽的変遷を経てきた彼らだが、これほどまでに“味のある”曲を書いたのはこれを以って最後かもしれない、とは言いすぎか。ハーレムにしては珍しく、ある意味ブルージーな表現技法を選択していて、それが何とも新鮮なのだ。'Change Comes Around'から'Sentimental Blvd.'へ、名曲同士のつなぎを最高の形で果たす一曲

【2007/11/20 18:55】 | 音楽語り | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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