TREAT (2010) / COUP DE GRACE
treat.jpg 1. Prelude : Coup de Grace 2. The War Is Over
 3. All In 4. Papertiger
 5. Roar 6. A Life To Die For
 7. Tangled Up
 8. Skies Of Mongolia
 9. Heaven Can Wait 10. I’m Not Runnin’
 11. No Way Without You
 12. We Own The Night
 13. All For Love
 14. Breathless 15. Turn The Dial


北欧メタルの代表格が華麗なる復活!スウェーデンのTREAT、18年ぶりの6thアルバム。

僕は2nd「THE PLEASURE PRINCIPLE」を今年に入って聴いたのみのTREATビギナーなので、過去作と比較してのレビューは出来ないのだが、本作はそんなことがどうでもよくなるくらい素晴らしい出来で、正直言ってかなり驚いた。「THE PLEASURE~」を聴いたときに気になった叙情メロディの輪郭の曖昧さや(これは繊細な美点でもあったけど)、どこか自信なげにふらつくVoといったマイナス点がほぼ払拭されるとともに、各メンバーの重ねた年輪が反映されてか音楽そのもののレベルが何十段も底上げされている。それとも僕が知らないだけで、実は解散前の時点でこの水準に達していたのだろうか。さておき、本作では「北欧メタル」の限定された枠内にとどまることのない、全方位対応型の普遍的なメロディアス・ハードロックが全編で正々堂々と、まさに正々堂々と展開されている。こりゃ凄い。

緊迫感あふれるSEに導かれて飛び出すオープニングの“The War Is Over”は今年2010年を振り返る時に必ず思い出すことになるであろう最強の曲で、もうこの時点で勝負の行方は決まった感じ。それ以降にも、本作から加入したナリー・ポールソン(B/LAST AUTUMN’S DREAM)のセンスが光る“Papertiger”、一発で覚えられるサビメロの妙に文字通り叫びたくなる“Roar”、ルドルフ・シェンカー(SCORPIONS)が手を貸したヘヴィな“Skies Of Mongolia”など素晴らしい曲が散りばめられている。後半にはノリノリの“No Way Without You”(スティーヴ・リーの共作者クレジットが悲しい…)~ちょいLEPPS調の“We Own The Night”~ECLIPSEの1stっぽいマイルドな“All For Love”の三連発と、要所にキラーを並べつつ、バラエティ豊かな曲調で全15曲を一気に聞かせる。終曲の“Breathless”よりもさらに出来の良いハードな日本盤ボーナス“Turn The Dial”のおかげで聴後感が向上しているのも嬉しい。

非常に率直に言えば、本作で復帰したオリジナルVoのロバート・アーンルンドの歌唱力そのものは「並」だと思うのだが、魅力的なメロディの本質を損なうことなく表現するためのツボを心得ているためか印象はとても良い。リズミックな“All In”や“Tangled Up”での歌を聴いていると、彼らの解散中に頭角を現した後輩バンドECLIPSEのエリック・モーテンソンの表現力にインスパイアされた部分が大きいのでは…なんて思ってしまうが、これはもちろん僕が「超」のつくエリックびいきだから。でも煽りの「Yeah~!」なんか笑えるほどそっくりよ。何にせよ僕にとっては大きなプラスだ。少なくとも僕が事前に抱いていた「頼りない」という失礼な印象はなくなった。

もひとつ特筆すべきはアンダース・ヴィクストロムのテクニカルでありながら歌心あふれるリードGの圧倒的な存在感。「弾きすぎず、引きすぎず」の押し引きの配分が絶妙で、まさにメロハーギターのお手本と言うべき見事なお手前。特に本作唯一のバラードと言える和やかな“A Life To Die For”を美しく彩る簡潔なソロと、続く“Tangled Up”におけるハジけまくりの対比効果は圧巻。Gの動きを中心に聴くリスナーさんにもきっとご満足いただけるはず。ほとんどの作曲をこなしているのもこのアンダースで、LADの2ndソングライターとして目覚ましい活躍をしているジェイミー・ボーガー(Ds)の助け舟さえ必要ないほどの才能爆発っぷり。きっとこれから何年かは引く手あまたの忙しい日々を送ることになるだろう。それからこのバンドの末期メンバーで、僕の偏愛するマッツ・レヴィンが数曲で作詞を担当しているのも友情出演って感じで麗しい。

今年はW.E.T.に始まり、GRAND ILLUSION、FM、TERRA NOVAにFIRST SIGNALと、新譜を出したメロディアスハード勢は僕にとって本当に本当に大切な存在ばかりなので、彼らと比べてしまうとこのTREATは「バンドへの思い入れの深さ」というただ一点において少々損をしている。しかし、可能な限り客観的に判断すれば本作の完成度がそれらの佳作群にひけをとらないどころか、その多くを上回っているのは明らか。次回作が無事に発表されれば即買い決定。どうかこれが「最後の一撃」になりませんように。もちろん過去作も頑張って探します!

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2010/11/23 23:10】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
来た、treat。
このアルバムかなり良かったです。
treat自身2006年発売のベストで初めて知った新参者なのですが、このベストに入ってる新曲2曲もお薦めなので、是非聴いてみてください。
【2010/11/25 01:47】 URL | thunder #aIcUnOeo[ 編集] | page top↑
こんばんは。
僕は全く知らずに聴きました。
正直驚きました。物凄く良かった。
捨て曲がありませんし、キラーチューンだらけといっても良い内容でした。
ギターのメロディにも耳が惹かれましたし。
【2010/11/26 20:53】 URL | 敏紫 #-[ 編集] | page top↑
thunderさん、こんにちはー。

いやあ実に素晴らしい作品ですよね、これは。thunderさんお奨めのベスト盤はもちろん、マッツ・レヴィン期も含めた過去作すべてをさかのぼってみたい、そんな気持ちにさせられました。

2010年のメロディアスハード代表として、こういう音楽を主食にしないメタラーさんにもぜひ聴いてもらいたい一枚ですね。
【2010/11/26 21:56】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
敏紫さん、こんにちはー。

確か敏紫さんはこの作品に最上級の「☆」をつけて高く評価されてましたよね。僕は聴くのが少し遅くなりましたが、そのお気持ちがよーく分かる充実盤でした。一回限りの打ち上げ花火でないことを願います。

Gのアンダース・ヴィクストロムはかなりの名手ですね。高いテクの使いどころを心得た歌心溢れるプレイ満載で。“Papertiger”のこねくり回すようなソロなんか大好きです。
【2010/11/26 22:05】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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