TERRA NOVA (2010) / COME ALIVE
terranovacomealive.jpg 1. Come Alive
 2. Fighting Yourself
 3. Holy Grail
 4. Here Comes The Night
 5. Those Eyes  
 6. Under Pressure
 7. Do Or Die 8. Who Can You Count On
 9. My Own Way
 10. The Final Curtain
 11. One September Morning


いまオランダで一番ドラマティックな世界に生きる素敵なオッサン4人組のTERRA NOVA。こちらは4年ぶりの5thアルバム。待ち焦がれてたよ!

のっけから本作の内容をざっくりまとめると、TERRA NOVAのフレッシュな「爽」よりも、切ない「哀」の側面がより強く押し出された作風になっていると思う。前作4th「ESCAPE」の時点ですでに感じられた若干の方向性の変化が今回でよりハッキリしたように聞こえる。このバンドに絶対不可欠なロン・ヘンドリックスのKeyも、爽快感を加速させる従来の役割よりは、むしろしっとりとしたドラマ性の演出のほうに重きを置いている感じ。逆に言うと突き抜けた勢いには欠けるので、例えば“Make My Day”とか“Those Were The Days”みたいな元気いっぱいのTERRA NOVAにこそ大きな魅力を覚えていた人には少し違和感があるかもしれない。僕は彼らの「爽」と「哀」の両要素をほぼ均等に愛しているので、何の問題もなく期待通りに楽しめた。「哀」路線の代表たる“Fighting Yourself”は、前作のキラーである“Rock Bottom”に並ぼうか超えようかという麗しさよ。

フレッド・ヘンドリックスの心揺さぶるハスキー声は年輪による深みを増しているし、前作の“Escape”のように限界ギリギリまで無理をして聴き手を戸惑わせるようなこともない。もともと純粋な歌唱力よりも豊かな情感と表現力で勝負するタイプなので、年を重ねてこれからがますます楽しみになる歌い手だ。澄ました顔をしてとんでもない仕事を楽々やってのけるイメージがある職人ジェスィーノ・デローザス(G)を中心とした演奏の安定感はもちろん、随所で「おっ、やるな!」と唸らせる巧みなアレンジセンスも健在。約10年ぶりにオリジナルのDsが復帰したことが影響したか、前作「ESCAPE」で気になったポッコリと貧弱なドラムサウンドがいくらか人間らしい音に改善されているのも、まだ満足ではないが地味に嬉しい。

今回は“Be Good To Yourself”か、はたまた“Higher Place”かといった感じで重厚に鳴り響く“Come Alive”や、ピアノイントロで“Faithfully”かと錯覚する“The Final Curtain”など、大先輩のJOURNEYっぽく響く場面がちらほら。“Here Comes The Night”の秋めいたマイルドな世界観に至ってはJOURNEYの孫バンドとでも称すべきFINAL FRONTIERまで思い出したりして。「~っぽい」が見え隠れしてもTERRA NOVAらしい個性は未だ十分なのでご安心を。

ギュギュッと濃厚なアルバム前半の楽曲群に対して、TERRA NOVAの本筋からやや離れた後半のロックチューン2曲が全体の統一感をいくらか低減しているような気もするが、ま、これまでの作品にも多かれ少なかれそういう面はあったから全然OKでしょう。「二部構成」的な組み立て方が非常に美しい先述のドラマティックな終曲“The Final Curtain”と、日本盤ボーナスの佳曲“One September Morning”の求心力は「ESCAPE」に収録されたバラード群の上を行くし、総合的に見て僕はその「ESCAPE」以上に好きなアルバムだな。後々バンドのキャリアを振り返った時に、HAREM SCAREMで例えるなら「HIGHER」、VON GROOVEならば「TEST OF FAITH」のような立ち位置の味わい深いオトナ路線の佳作として、多くのファンの心に記憶されるのではないだろうか。分かっちゃいたけど、やはりTERRA NOVAにハズレなし!なのだ。


(おまけ)

…とまあ、相変わらず色々とゴチャゴチャ書いてきましたが、このアルバムはもう“Under Pressure”の衝撃に尽きるでしょう。

TERRA NOVA / Under Pressure

ああ、この蒼き焦燥感溢れるメロディ展開は穴があったら入りたくなるほどこっ恥ずかしい。もう何なの、このギリギリアウト感丸出しの“One More Chance!”は。僕が1stのレビューで「80’s青春ドラマ的な作曲センス」と表現したフレッドの才能がここで余すことなく大爆発しております。ちょっと極端な妄想をすると「スクールウォーズ」の主題歌として一世を風靡していてもおかしくないレベルの徹底ぶりよ、これは。あるいは全国高校サッカー選手権のテーマ曲とかね。「たたかいにやぶれてもー きーみーはーうーつーくしいー♪」のアレと遜色ないです。ジェスィーノのメロウなGも文句なし。僕はこの1曲だけで元が取れました。間違いなくメロディックロック史上に残るこれぞの名曲!

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2010/09/20 10:26】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
「Under Pressure」はいい曲ですね~。
僕も好きな曲ですよ。

>80’s青春ドラマ的な作曲センス

確かにそうですね~。
こっ恥ずかしくなるのも同感です。

僕の場合は僅差で「爽」を求めてしまうバンドではあるんですが「哀」のメロディも秀逸でした。ちょっとね、後半地味に感じましたけど、大人の深みがいい味出してましたね。
【2010/09/25 18:01】 URL | 敏紫 #-[ 編集] | page top↑
敏紫さん、こんにちはー。

敏紫さんは初期3枚の中では3rd「MAKE MY DAY」が特にお好きでしたよね。あの突き抜ける気持ちよさは本作には希薄ですが、オトナの「哀」でそれをうまく埋め合わせたかな、という印象でした。

メロディのこっ恥ずかしさという意味では、初期作よりもここ2枚のほうが強烈な気がします。まったく、年甲斐もなく我が道を突き進む愛すべきオッサンたちです(笑)。

このバンドの評価はいかにもヘヴィメタル的な「アルバムの構築美」などのお堅い指標ではなく、単純に「琴線に触れる良い曲がいくつ入っているか」で判断すべきものだと思っています。僕は例の“Under Pressure”と2曲目の“Fighting For Yourself”を聴けただけでかなり満足しました。
【2010/09/26 08:58】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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