BLIND GUARDIAN (1995) / IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE
blind imagination 1. Imaginations From The Other Side
 2. I'm Alive
 3. A Past And Future Secret
 4. The Script For My Requiem
 5. Mordred's Song
 6. Born In A Mourning Hall
 7. Bright Eyes
 8. Another Holy War
 9. And The Story Ends



ドイツの誇る4年に一度の祭典的バンドBLIND GUARDIANの大傑作5thアルバム(ドイツはもうバラック頼みじゃないんだね。見事な3位でした)。この作品には非っ常に強い思い入れがありましてねー。

高校2年の2000年12月にHR/HMに出会った僕がその深みにじわじわとハマり始めて数ヶ月経ったある日のこと。拙ブログでも何度か登場してもらっている僕のクラスメイトにしてメタルの師匠・H田くんに「何かこう、これぞヘヴィメタル!って感じの濃ゆい音を聴いてみたいんだけど…」とリクエストすると、「ならばブラガを探すがよろし」とのありがたーいお答えが返ってきた。なんちゃって、そこで「じゃあ俺が今度CD持ってきてやるよ!」と爽やかに申し出てくれないのが彼のいかにも腹黒い…じゃなかった、ユニークなところ。この頃になると彼は僕を対等な関係のメタラーとみなしたのかどうか、音源のやりとりはあくまでもギブ・アンド・テイク、つまり「タダでは貸さんよ」という割とシビアな姿勢を見せ始めていたのであった。一度メタル中毒を発症した者はわずかな身銭を切ってでも必死にメタル音を追い求める、この真理を自身の経験から知っていた彼のしたたかな戦略だったに違いない。

当然ながら、「持ち駒」も知識も全然足りないメタル初心者の僕が好き者の先輩を唸らせるようなアルバムを提供することは極めて難しい。なにせそのころの彼の愛聴盤はPAIN OF SALVATIONの「THE PERFECT ELEMENT PT.1」だものなあ。改めて思えばずいぶん奇妙な高校2年生だ。さておき、この時もH田くんに感謝半分、「あのノルウェー野郎が!(※インギー様が袂を分かったヨルン・ランデを罵ったときの名言。当時2人の間で局所的に流行っていた)」という気持ち半分を抱きつつ、それでも素直にブラガの作品を探索。ほうぼうを歩いてようやく金額的にもギリギリ合格ラインの¥480くらいでファンタジックなジャケットを発見!ついに吟遊詩人と魔法使いが織り成すめくるめく冒険譚の世界へ…高鳴る期待に大きく胸を弾ませながら再生ボタンを押して流れ出してきたのが、ああ、今でも忘れがたい衝撃の1曲目―。


“Mr. Sandman”


……当時の自分の軽率さを考えると今でも笑いがこみ上げてくるのだけど、僕とブラガの出会いは、そう、企画盤の「THE FORGOTTEN TALES」だったのでした。ちなみに2曲目もカヴァーでその名も“Surfin’ U.S.A.”(笑)。悲しいかな、当時の僕には曲タイトルから音像をうっすらと予想するという技術がまだ備わっていなかったのだ。通しで聴いても純粋なパワーメタル曲は皆無、最後になってようやくそれらしき音が聞こえてきたと思ったら名曲“Theater Of Pain”のインスト版という厳しい仕打ち。もちろん、いま聴き返せば好カヴァーの“To France”を筆頭に得られるものは決して小さくない作品なのだけど、ガツンと来るどメタルを待ち望んでいた僕には生殺しもいいところ。“Bright Eyes”あたりからは雰囲気の良さがビンビンと伝わってくるから余計にね。どうにも釈然としないモヤモヤを抱いたまま過ぎること数ヶ月、本作「IMAGINATIONS FROM THE OTHERSIDE」とのめぐり会いに僕が狂喜乱舞、感謝感激雨あられ状態になったのもなんとなくお分かりいただけると思います。冒頭で書いた「思い入れ」というのは、まあつまりこういうことなのでした。

ようやくここからレビュー。本作は、偉大なる先輩HELLOWEENの音楽を下敷きにしつつ、その影響下から少しずつ離れて「SOMEWHERE FAR BEYOND」で独自の世界観を完全に確立した彼らが満を持して放った、いわゆる“coup de grace”的なアルバム。僕は始祖のHELLOWEENもそれなりに好きだし、例えば「守護神伝」なんかを聴けば確かに「凄い」とは思うのだけれど、世代的な問題もあるのだろう、その「凄い」という気持ちはどこか他人行儀というか客観的というか、決して心の奥底からは彼らの音楽にのめり込めなかったことを告白する。そんな僕からすればHELLOWEENの第一の功績は分かりやすい「型」を作り上げて無数のフォロワーのための地ならしをしてくれたことであり、さらにあえて極端な書き方をすれば、このBLIND GUARDIANという稀有なるバンドを世に送り出す大きなきっかけになったことなのではないか、とさえ思っている。青は藍より出でて藍より青し。拙ブログでちょこちょこと書いているように、僕はメロディック・パワーメタル/スピードメタルというジャンルそのものには決して思い入れはないけれど、このブラガだけは別枠。特にこの頃のブラガはもう徹底的にメタルだから。

本作を聴いて数年後に読んだB!誌のレビューでは、確か前田さんだったかが「良い子のパワーメタル道を驀進している」みたいな旨を書いていたと記憶しているが、僕はそれを読んで正直「ん?」と思った。と言うのも、このアルバムを聴いてしばらくの僕の印象は「邪悪な気が漂っている音楽だなー」だったから。メタラー10年目現在のいくらか成長した耳で聴き直せば、「邪悪」という形容はちょい違うかなと思うけど、それでもまったく妥協のない徹底した作り込みがなされたバッキングにハンズィ・キアシュの血管が切れそうな力み声&ブラガ印のクワイアコーラスが乗っかっている音像は緊張感も十二分。ヒロイックなメロディは誰の耳にも分かりやすいが、決して子どもだましの軽薄さなど感じさせない。それどころか聴けば聴くほどに新たな発見がある。

音の強弱と濃淡の使い分けが実に見事なオープニングの大曲“Imaginations From The Otherside”の開始10秒で劇的なKeyエフェクトが聞こえてきたときの衝撃を、そして続く“I’m Alive”の切迫感溢れる一節、“Welcome to my reality (Dream forever!)”に全身がゾクゾクと粟立った瞬間のことを僕はきっと死ぬまで忘れないと思う。件の「THE FORGOTTEN~」を聴いた段階ではその素晴らしさが完全には理解できなかったフォーキーな“A Past And Future Secret”や“Mordred’s Song”も激烈な疾走曲に挟まれているがゆえに強い光を放っている。力みを抜いた時のハンズィの声はビックリするくらい優しく穏やかに響いてきて、そういう意味での対比効果も抜群だ。

ブラガを語る上で必須の「作り込み」というキーワードは、アンドレ・オルブリッチのリードGに関しても例外ではなく、練りに練り込まれた彼のGソロはブラガの魅力と不可分の存在になっている。この「口ずさめるソロ」が楽しみでブラガを毎作買っている人も少なくないはず。こういうのを聴くと楽器の出来ない僕は「ハイテク・バカテクもいいけど、やっぱり音楽はまずもってメロディありきだよなあ」としみじみ思ってしまう。残念ながら脱退してしまったトーメン・スタッシュのDsも全編で暴れに暴れまわっていて痛快。マーカス・ズィーペン(G)も含めて、この4人のラインナップがいつまでも続けばよかったんだけど。。。

本編の全9曲はそのすべてを名曲・佳曲に認定できる出来栄え。終盤に突入してもテンションは一切落ちず、このドラマティックなメタル絵巻はその名もズバリの“And The Story Ends”で華麗に幕を閉じ、想像上の別世界を彷徨っていた聴き手の魂もここでようやく現実に戻ってくる。もうお腹いっぱい、胸いっぱいの心地よい疲労感。いやあ、やはり90年代屈指のメタル作品ですな、これは。メロパワ・メロスピがどうこうといった狭い視点からのみならず、ヘヴィメタルの究極の形のひとつとしてこれからも語り継がれていく一枚だと信じてやまない。

先にチラと書いた4th「SOMEWHERE FAR BEYOND」も実に素晴らしい作品で、もしも出会う順番が逆だったら「IMAGINATIONS~」よりも好きになっていたかもしれない。ご紹介した5thよりも曲作りはストレート。ブラガ初心者、ていうかヘヴィメタル初心者はぜひこの2枚から攻めましょう。メロディック・パワーメタルというジャンルはコンセプト・アルバムにはまったく不向きだなあと思わせた6th「NIGHTFALL IN MIDDLE-EARTH」も、必殺の“Mirror, Mirror”や“Time Stands Still (At The Iron Hill)”など個々の楽曲を拾えば聴き応えは抜群(蛇足的にちょっと大胆な発言をすれば、僕は巷で大好評だったANGRAの復活第二弾「TEMPLE OF SHADOWS」を聴いた時にも似たような感想を持った。単に音を聴くだけでは全然主題が伝わってこないんだよなあ)。このバンド特有の「作り込み」が音からヘヴィメタルとしての熱をやや削いでいるようにも聞こえるここ最近の2作に手を伸ばすのは、以上に挙げた3枚を聴いてみてからでも遅くない。はてさて新作の出来やいかに。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2010/07/16 23:40】 | HR/HM 旧譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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