1月半ばのお買い物 (TRIUMPH!)
TRIUMPH (1983) / NEVER SURRENDER
TRIUMPH (1984) / THUNDER SEVEN
TRIUMPH (1987) / SURVEILLANCE


近頃ほとんどネット通販を使わずに買い物をしていたらばHMVのポイント期限がギリギリに。おおヤバイヤバイとばかりに飛びついたのが、その時ちょうど1枚¥1000セールの対象だったTRIUMPHの旧作。カナダ盤の2004~05年リマスターシリーズで3枚。今回も長いよー。

TRIUMPHは1970~80年代のカナダを代表するハードロック・バンドで、メンバーはリック・エメット(G, Vo)、マイク・レヴィン(B, Key)、ギル・ムーア(Ds, Vo)。曲によってリックとギルが歌を分け合い、また時に絶妙に絡み合うのが特徴的。TRIUMPHは同国出身&トリオ編成という共通点のあるかのRUSHと並び称されるほどの凄い人たちなのです。

…などと分かったようなことを書いてしまったが、僕が以前にこのバンドを聴いたのは5~6年前にレンタルしたベスト盤「CLASSICS」のみ。が、その貴重なMDはいくらガサゴソしても見つからず、だから気分的にはTRIUMPH初体験のような感じだった。つまり当時の僕は彼らの音楽にさほどの感銘を受けなかったということになるのだけど…。1月の半ばにこの3枚が手元に届いてから、こないだレビューを書いたW.E.T.の新譜を月末に手に入れるまでの約2週間、僕はほとんどこの3枚しかCDを聴いていませんでした。それくらい、もう笑っちゃうくらいこのTRIUMPHにどハマリしてしまったのです。「CLASSICS」に触れてもピンと来なかったかつての自分の不明を恥じるやら、現在の成長がちょいとだけ誇らしいやら…ということで1枚ずつきっちりと感想をば。

まずは1983年の「NEVER SURRENDER」。今回の3枚の中で「トリオ編成」であることをもっとも感じさせる生々しい作品。聴き始めたときには「地味だな」と思ったのも確かながら、聴けば聴くほどに音がじわりと耳に染み込んでいく、そんな感じ。ハードにドライブする曲調に合わせてか、ギル・ムーアのクッキリした声がちょいと若き頃のロニー・ジェイムズ・ディオのように響く“Too Much Thinking”から、リック・エメットの繊細な泣きがG/Voともに冴え渡る“A World Of Fantasy”への繋ぎで静かに興奮が呼び覚まされる。1分足らずの序曲に導かれて流れ出すHR曲“All The Way”も素晴らしいが、本作のハイライトは何と言ってもねっとりとしたタイトル曲の“Never Surrender”。6分40秒のこの曲にTRIUMPHのすべてが詰まっている。細くて甲高いながら決して不安定さを感じさせないリックの声には大量の泣き成分が含まれていて、先述の“A World Of Fantasy”とともに僕の胸をグイグイ締め付けることこの上ない。この曲はスリリングな中盤のインストパートもお見事で、Bの仕事が僕の耳でもハッキリと確認できる余裕ある音像が嬉しい。それ以降の曲にも一切手抜きなし、僕にTRIUMPHの凄みを知らしめるに十分。

お次は1984年の「THUNDER SEVEN」。今回の3枚の中で全体的なバランスのもっとも取れた優等生的な作品。3枚とも強烈に素晴らしかったが、僕があえて1枚選ぶとすればこれになるかなあ。オープニングの“Spellbound”は彼らにしてはまあそこそこという出来ながら、続く“Rock Out, Roll On”で泣き全開。5曲目の“Time Goes By”あたりもそうなんだけど、フツーのHR曲っぽい出だしからは想像もつかないような強力な泣きメロが待ち受けている。全10曲の中で一番アッツいインストバトルを繰り広げる曲に“Cool Down”と命名するセンスも憎い。3人が正三角形を作りながら互いを向き合って笑顔で演奏している様が目に浮かぶよう。下に動画を貼っておいた“Follow Your Heart”は、非常にシンプルがゆえに多くの人々の共感を呼び起こすであろうメッセージ性の高さも含めて、80年代を代表するハードロック・アンセムたりうるこれぞの名曲。そしてもう1曲、ツインVoの機能を完璧なまでに生かしたのが序曲2曲に続く“Killing Time”。ああ、この曲はもうヤバイです。掛け値なしに泣けます。歌詞を読むとさらに泣けます。僕のように後悔することの多い人間であればあるほど泣けるはずです。ぜひ聴いてみてくだされ。ラストのインストはゲイリー・ムーアそこのけのブルーズ曲でこれがまた効くんだ。。。

そしてラストは1987年の「SURVEILLANCE」。今回の3枚の中で狭義のメロディアス・ハードロック・ファンにもっとも受けそうな作品。しかし「NEVER SURRENDER」からわずか4年で音像がここまでキラキラ方面に洗練されるとは…リアルタイムで追いかけていた熱心なファンは「売れ線に走りやがって!」などと嘆きの声を上げたのだろうか。しかし後追いの我々は外見上の変化に惑わされてはなりませぬ。さすがTRIUMPH、オープニングから5曲目の“Carry On The Flames”までの流麗な構成は「完璧」のひとことあるのみ。特に名手スティーヴ・モーズがゲスト参加してリックとクールなギターバトルをかましてくれた“Headed For Nowhere”はスピーディーなHR曲としてほぼ究極の域にある。この曲のためだけに買っても損はしない。厳しい目で全体を見れば「わざわざTRIUMPHがやらなくても…」と思えるような産業ロック/ポップス曲も含まれているし(当然出来は良いのだけど)、また全3枚32曲の中で唯一の捨て曲である(と僕が思う)大味極まりない“Rock You Down”の存在は正直言って残念。またリックとギルの掛け合いVoが聞かれず、各々が自分のやりたい曲を勝手に歌いましたみたいな印象を抱くのは、僕がリック脱退の経緯を知っているが故のこじつけだろうか。しかしそんな弱点が見えても本作の素晴らしさが霞むことなどありえず、むしろ昨今のHR/HMを中心に聴いている人にはいちばんとっつきやすい作品かもしれない。夜のハードロックと言いたくなるAOR感覚に心ときめく“All Over Again”、そして「FRONTLINEの1st『THE STATE OF ROCK』の日本盤ボーナス“Alone”の元ネタはこれだったのか!」と妙にマニアックな納得の仕方をしてしまった終曲の“Running In The Night”のおかげで聴後感は最高だしね。


と、ようやく一息。しかし、何でこうも繰り返し繰り返しこの3枚ばかりを聴き続けることになったのか。たまたま3枚の音像がそれぞれ微妙に違う性質を帯びていたことも飽きの緩和に作用しているのだろうが、どうもそれだけでは説明できない。3枚に共通して言えるTRIUMPHの凄さ、それは。。。

・ リック・エメットとギル・ムーアというタイプの異なる2人の名シンガーの存在。
・ 幅広い層にアピールする泣きメロが満載されていながら、あざとい「泣きのための泣き」にならない絶妙なバランス感覚を保った音像。
・ どんなタイプの曲を作らせても水準を遥かに超えてしまう器用すぎる作曲センス。
・ 僕ごときがわざわざ言及するまでもない余裕しゃくしゃくの演奏力。
・ 序曲・インストを要所に散りばめたドラマティックなアルバム構成(特に「また初めから聴きたい!」と思わせるアルバム終盤の絶妙な余韻の醸し出し方と来たら!)

何だかバカみたいにベタ褒めしてしまったけれど、紛れもない本心でこう思っているのだから仕方ない。いやあ、我ながらホントにいい買い物をした。この3枚との出会いによって、僕の中でTRIUMPHは80年代ハードロック・バンドの代表格に躍り出たと言っても過言ではない。「RACER XとDISTURBANCEを¥1で拾いましたグヘヘ」などとネットの片隅で怪しく笑っている僕なんぞの言うことがどこまで信じてもらえるか分からないけれど、それでも不肖「むーじゅ」、200%以上の自信と確信を持ってこのTRIUMPHというバンドをメタラー諸兄に強く強くお奨めさせていただきます。次に狙うは「ALLIED FORCES」と「JUST A GAME」かしら。なんて、ここまで惚れ込んでいても「安くならなければ買わない!」というのが僕らしいというか何と言うか…(笑)。ま、次なる出会いまでこの3枚を死ぬほど聴きこむことにしましょう。TRIUMPH最高!


TRIUMPH “Follow Your Heart”

「SURVEILLANCE」発表前の1987年1月、母国カナダでのライヴより。この頃にはバンド内部で今後の音楽性と作曲クレジットをめぐるリックvsギル&マイクの対立が起こり始めていた…なんてドロドロした裏事情などまったく感じさせない圧巻の演奏。ちなみに最後マイクに紹介された謎のサポメンはリック・サンタース。実は僕、この人が率いるポップ・ハードロック・バンドSANTERSの4枚組ボックス(エイベックス発売!)をメタラー歴2~3年目の時に確か¥1500くらいで入手していて…。当時はさほど感銘を受けなかった僕だが、この機会に久々に引っ張り出して聴いてみたところ…さすがにTRIUMPHと比べてしまうとやはり小粒で地味~な印象は否めないけれども、3rdの「GUITAR ALLEY」なんかはトリオ編成ならではの軽快さとほのかな叙情メロディの絡み具合がいい感じ。お蔵入り状態だった幻の4th「TOP SECRECY」での急激な産業ロック化も僕には嬉しい。ホッと和みました。この再会もまたTRIUMPHのおかげね。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2010/02/17 21:16】 | 購入履歴 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
はじめまして。
TRIUMPHについての「熱い」記事、興味深く読ませてもらいました。
自分は「SURVEILLANCE」でこのバンドを初めて知って、それがきっかけでこのバンドが好きになったので、このアルバムが断然お気に入りです。
むーじゅさんと同じく“Headed For Nowhere”がまさに「究極の1曲」として記憶に残ってます。
この記事に触発されて自分のブログでもTRIUMPHの記事を書かせてもらいました。興味ありましたらご覧ください。
また遊びにきます。では・・・
【2010/02/23 11:49】 URL | jimmy #-[ 編集] | page top↑
jimmyさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

「SURVEILLANCE」の出来は、とても当時のTRIUMPHが危機的状況にあったとは思えないほどの素晴らしさですね。“Headed For Nowhere”には鳥肌が立ちましたよ。自分の記事に触発されただなんて…何とももったいないおことばです。

jimmyさんのブログも拝見させていただきました。僕と音楽の好みが驚くほど似通っていらっしゃるので、しばし時間を忘れて熟読してしまいましたよ。W.E.T.は最高でしたよね!

内容は行き当たりばったり、更新頻度は風まかせ、その上コメントの返信もズボラという三重苦を抱えた拙ブログですが、折に触れて訪れていただければ幸いです。お待ちしています。
【2010/02/26 15:43】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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