GOTTHARD (2009) / NEED TO BELIEVE
gotthardbelieve.jpg 1. Shangri La
 2. Unspoken Words
 3. Need To Beleive
 4. Unconditional Faith
 5. I Don't Mind 6. Break Away
 7. Don't Let Me Down
 8. Right From Wrong
 9. I Know, You Know
 10. Rebel Soul
 11. Tears To Cry
 12. Ain't Enough 13. Speed Of Light

スイスの誇る音楽文化財にして当代ハードロック・バンドの最高峰、GOTTHARD。アコースティックアルバム「D-FROSTED」を除けば9枚目となるオリジナルアルバム。長ったらしい文章のそこかしこで信者モードが入っているのは笑って見逃してくだされ。

一聴して、アルバム全体にみなぎる力感に驚かされた。これほど音に力が入った作品は初期の名作「G.」以来ではあるまいか。それと同時に感じられる音像のメジャー感もこれまたキャリア屈指、素晴らしい環境で音が研磨されたであろうことが十分に伝わってくる。とにかく聴いていて気持ちいい。特にヘナ・ハーベッガーのパワフルな躍動感と心地よい安定感を完璧に両立させたDsは、あの素晴らしきライヴDVD「LIVE IN SWITZERLAND」と同様の感動を呼び起こしてくれる。

…と、本格的に中身に触れる前に前置きをば。GOTTHARDというバンドは「普通すぎる」「個性やアクがない」という内容でもって、その生真面目な音楽性が無い物ねだり的な批判というか、ちょっとした不満の対象になっているのをしばしば見かける。HR/HMの内部で音楽性の細分化が進み、その頭や尻尾に「メロディアス~」とか「ブルータル~」とか「エクストリーム~」とか「~コア」とか「ポスト~」とかいった記号を付けて区別する作業が定着化し、そうした情報をもとに聴き手がバンドを選ぶことが当然になりつつある昨今では、特定の形容詞が付きにくいGOTTHARDのようにオーソドックスなバンドはジャンルの狭間で埋没しやすいのかもしれない。例えば彼らは「Frontiers」のバンド群のように、数は少なくともいまだ根強いベースを持つメロディ派リスナー狙いに徹しているわけでもなく(わざわざそんなことをしなくたって本国では国民的バンドなのだ)、ここ日本でアピールすべき層が見えにくい点は否めない。さりとてアレやコレやのように音楽性を凌駕するほどの魅力となりうるような輝かしいスター性やカリスマ性を持った人々とも言いがたい。

が、本作を聞いてご覧なさい。その「普通のハードロック道」を極めてしまうとこんなにもカッコよい曲が出来るのだということを、“Right From Wrong”や“Rebel Soul”、そして何故これが限定ボーナスなのか理解に苦しむほど出来がよい“Speed Of Light”などが証明していて何ともまあ愉快痛快なのだ。重さ・切れともに文句なしのリズム隊、聴き手の快感のツボを心得たGリフ、そしてその上に乗っかる完全無欠のスーパーヴォーカル。。。これほどの正統派ハードロックを、ここまでの一体感でもって鳴らせる「普通」のバンドがどれだけ居るよ?と言いたくなってしまう。

メロディアスハード的な要素もチラ見せしてくれる“Unspoken Words”や“Tears To Cry”をハイライトに挙げる方も多いだろう。どうやら前者はラウパでも披露されたようで、この超・爽快な曲を単独公演で聴ける日がいまから待ち遠しい。そうそう、本作では(おそらくレオ・レオーニによる所が大きいであろう)「半端なロックンローラー魂」が発揮されてしまう大味でつまらない曲が見当たらないのも嬉しいな。まあぶっちゃけ、前作「DOMINO EFFECT」の“Bad To The Bone”とか、その前の“I’m Alive”みたいなね。ロック曲の取っ付きやすいキャッチーさは「DOMINO~」に及ばないが、前述のプロダクションの素晴らしさと余計な曲がないことの二点によって生まれたスッキリとした聴後感はそれを余裕で凌いでいる。“Shangri La”や“Unconditional Faith”で聞かれるオリエンタル風味もいいアクセントになっていて○。

また今回はとてもポジティヴな意味で「アレっぽい、コレっぽい」を楽しめる面白い作品でもあると思う。本作で随一の骨太ハード曲“I Don’t Mind”は「G.」の世界を飛び越えてかの“Mountain Mama”をも彷彿とさせるし、やや異色の“Break Away”は初期QUEENSRYCHEの“Before The Storm”っぽいリフからHAREM SCAREMの“Blue”(「VOICE OF REASON」のアレですね)のサビメロに繋げるような展開が新鮮だったりして。僕だけ?さらに言うと“I know, You Know”は静かな立ち上がりからジワジワと盛り上がる様が何故かMAGNUMの名曲“The Spirit”のモダン&ヘヴィ版のように響いて…あれ、僕だけ?

与太はさておき。コチラでもくどいほど書き散らしたので特にもう言うことはないが、このバンドのアイデンティティにして命であるスティーヴ・リーの歌声はHRファンならば一度は腰を据えて聴いておかなきゃいけないよ。「HUMAN ZOO」の“No Tomorrow”っぽい出だしからどっかで聴いたことあるような穏やかなサビメロへと広がっていく“Don’t Let Me Down”で見せる表現力と来たら、あなた。極論を言えば僕はこの声さえ聴ければあとはもうどうでもいい、それくらい彼の声に心酔している。そうそう完全に余談ながら、こないだおっそろしいことに¥300で新品を拾ったAYREON(2008)の2枚組「01011001」での客演がまた見事でねえ…。“Age Of Shadows”でのヨルン・ランデ&ダニエル・ギルデンロウとの掛け合いには鳥肌が立ったよ。

もちろん、冷静に考えれば気になる点がない訳ではない。ここ3作のバラード曲の平均的な品質(これはあくまでもGOTTHARDという天性の「バラード力」を持ったバンド内での相対評価ね。他の凡百のバンドとは比べるまでもない)と、アルバム全体の構成力(=良い曲を揃えることはもちろん、その曲順に必然性を感じさせること)は、ソフト路線の「HOMERUN」と「HUMAN ZOO」と比較してちょっぴり低減している感があるし、また本作に限って言えば、BURRN!誌のレビューで小澤さんが指摘されていたようにレオのGソロに少々勢いが感じられないことも確かだと思う。

それでも、僕にとっては世界で一番大切なバンドのひとつ。ラウパでのパフォーマンスは概ね好評だったようだし…いや、何がきっかけでも構わない、もっともっと多くのリスナーにこの圧倒的な地力に裏打ちされた「普通」…もとい「普遍」の素晴らしさを知ってほしいと願ってやまないところ。多少のバラつきはあれど、GOTTHARDの作品に駄盤なし。個人的には前作よりも気に入りそうなこの「NEED TO BELIEVE」もまた、僕の生涯の友人として末永くお付き合いをする関係になるはず。彼らが新作を出すたびに感じられるこの安心感は何物にも代えがたい、こんなふうに彼らを心底信じきっているのはきっと僕だけじゃないだろう。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2009/10/28 20:52】 | HR/HM 新譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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