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TALISMAN / TALISMAN (1990), GENESIS (1993), HUMANIMAL (1994), LIFE (1995)
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お久しぶりです。予期せぬ悲劇をきっかけに記事を書くのはまったく本意ではないのですが。。。北欧産グルーヴィー・ハードロックの輝ける一番星、TALISMANの初期4作をそれぞれレビュー。

1stアルバム「TALISMAN」は結構な難産だったようだ。EUROPEを脱退したジョン・ノーラムとのプロジェクトが頓挫したマルセル・ヤコブはそのために用意していたデモをヨラン・エドマンに歌ってもらうものの、ジョンとマルセルの板ばさみになった哀れなヨラン先生は結局イングヴェイ・マルムスティーンのもとへ。で、マルセルはついぞ忘れていたかつてのバンドメイトであるアメリカのジェフ・スコット・ソートに慌てて連絡、危うい流れながらも業界筋では高い評価を受けていたマルセルの音源は何とか日の目を見ることになったのだ。

こうした経緯から言っても結成時のTALISMANはマルセルのソロ・プロジェクトのような色合いが濃く、その後の彼らの音とは方向性をいささか異にしている。全編をキラキラと彩るKeyの音色、攻撃性よりも叙情性を重視した柔らかい音像、そして非常にポップな歌メロの数々が即座に「北欧産」を意識させるだろう。マルセルとジェフのex.YNGWIE MALMSTEENの経歴に引っかかったリスナーの興味を引く意図があったのかどうか、例えば“Queen”あたりはそれこそ「ECLIPSE」に入っていてもおかしくない位の正統的HRで思わず笑ってしまうが。

この1stの魅力は、シンプルな歌詞によって紡がれた瑞々しくキャッチーな歌メロの妙に尽きる。弾むようなアカペラから始まる“I’ll Be Waiting”は一度聴いたら忘れられない永遠の名曲。デモを聴いたノーラムがお気に召さなかった(いや、hateだった)とマルセルが語る3曲も本当に素晴らしい出来で、オープニングの“Break Your Chains”のギターのウネリには今後のTALISMANの方向性を示唆する粘っこさが感じられるし、“Lightning Strikes”、“Day By Day”はそれこそ北欧ハードポップの理想系とも言える翳りがたまらない。ヨランの歌ったデモから歌メロにほとんど変更がないことからも分かるようにそれらはマルセルが一人で考えたもので、彼のミュージシャンとしての総合力の高さに驚かされること請け合い。全編を通して能天気さは皆無、キラめくような珠玉の叙情メロディをたっぷりと味わってもらいたい。

TALISMANが狭義の北欧ハードロック路線から二歩も三歩も飛び出してバンドの個性をどうにか確立させようと奮闘したのが、再度の紆余曲折を経て発表された2ndの「GENESIS」だ。ありがちな表現になるが、本作で彼らは化けた。そもそも非常にいい意味で歌唱表現が粗く、それゆえ聴いていて思わず飛び跳ねたくなるような高密度のエネルギーを声に内包しているジェフ、そして本来は売れ線ソングライター志向のはずなのに武器のベースを持たせるとやたらと自己主張が激しくなってしまうマルセル、この2人をキラキラとした北欧的美世界のみに閉じ込めておくのは難しかったのだと想像してしまう。古典的ハードロックをバックボーンに持つマルセルがブラックミュージック大好きっ子のジェフの毒気に当てられたのか、はたまたジェフがマルセルのブリブリベースを「こいつは使える!」と思って利用し尽くしたのか、その辺はよく分からない。が、いずれにせよ2人が真の意味で「共犯者」になったのはこのアルバムからだと思う。魂のみがフワフワと先行していたTALISMANはここでしなるように強固な肉体を得ることに成功したのだ。

楽曲の充実度のみで判断すれば、あるいは本作がバンド史上No.1かもしれない。フツーの曲はせいぜい2~3曲、あとは掛け値なしの名曲のオンパレード。頭4曲のスリリングな流れは90年代屈指、特にインギーが歯噛みして嫉妬したであろうほどの傑作“Comin’ Home”から“Mysterious (This Time It’s Serious)”への自然な繋ぎには今でも息を呑む。童顔の誰かさんの“When I was a young boy~”が聞こえてきそうな“All Or Nothing”はご愛嬌(こっちはちゃんと“girl”になってますから/笑)。体が縦ではなく思わず横に動く “U Done Me Wrong” はこれぞTALISMANの真髄、“Give Me A Sign”はバラード系メロディの泣きと音の逞しさが違和感なく同居した名作に仕上がっている。楽曲のヴァラエティに富みつつ、随所にこうした「核」が散りばめられているのが好印象の要因だろう。

ジェフの歌唱がいい具合にハジけてきたのもこの作品から。正直、前作ではインギー時代にも見え隠れしていた不安定さをチラと露呈していた彼だが、とうとう自らに最適の表現形式を会得したのか、もしくは単に開き直ったのか、本作以降のジェフの歌唱はとにかく「勁い」。それに呼応するかのように印象的なラインを紡ぐマルセルのリードベース(!)の存在感はもちろん、ARCH ENEMY加入時のインタビューで「TALISMANのファンク要素がイヤだった」などと余計なことを言ってマルセルに酷く貶められていた若きフレドリック・オーケソンのメロディアスなギターソロもバックにきちんと乗っていて素晴らしい。

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2ndの各所での好評で調子に乗った(?)マルセル&ジェフが聴き手に不敵な挑戦状を叩きつけてきたのが続く3rdの「HUMANIMAL」だ。前作でTALISMANの個性として聴き手に印象付けられたであろうタフなグルーヴ感をやりすぎなほど強調した実験的な作風で、彼らに様式幻想を抱き続けていたピュア・ハードロッカーの諸兄を振り落としにかかった、言わば「踏み絵」的な立ち位置にあると思う。ジェフの黒っぽい歌メロ&都会的なアレンジがいよいよ前面に押し出されてスタイリッシュな洗練度を高めた音像は、熱心なメタル信奉者にはやや辛いだろうと推測する。ヘヴィ化を推し進めた作品と評されることも多いが、それはモダンヘヴィネスやオルタナ方面への接近を必ずしも意味しない(「憤怒」や「悲嘆」といったネガティヴな心性が微塵も感じられないのだ)。ここらが雑多な音楽的背景に下支えされたTALISMANの、実に興味深く、また非常に謎めいたところでもある。

後年顕著になる「散漫なTALISMAN」の悪しき伝統がそろそろ顔を見せ始めたこともあって、PART1と2に分けられた約20曲のすべてを褒め称えるわけにもいかないが、“Humanimal”や“Colour My XTC”などは間違いなく彼らの代表曲と言える最高にして最強のクールさ加減。前者はのちにプロジェクト名にも採用されるくらいだからマルセルとジェフの思い入れの深さが分かろうというもの。“Seasons”や“Hypocrite”、“Lonely World”に“d.o.a.p.s.”などなど、僕のようなTALISMANマニアにはたまらない楽曲満載の玉手箱のような一枚。2ndと4thがともに気に入ったならばぜひ手を出してもらいたい。この試行錯誤なくして次の作品は生まれ得なかった。ちなみにマルセルにとってかけがえのない相棒になったジェイミー・ボーガー(Ds)が参加したのもこの作品から。

そして。。。「TALISMANってどんな音楽を作っていたの?」と誰かに聞かれたらばこれを黙って差し出すべき、と断言できる4thの「LIFE」。「単なるハードロックには興味ありません!」という探究心溢れるリスナーにこそ聴いてもらいたい天下無双の逸品だ。もし出来るなら、今一度本作を新譜として世に出して、その革新性を理解できなかったかつての音楽業界の不明を問い質したいくらい。おそらく30年後に聴いても古さを感じさせないであろう稀有なる音楽性を提示してくれたのだと僕は信じて疑わない。

楽曲の体感速度と聴き手の発汗性を自然に高めるジェフの「2HOT4U(too hot for you)」なゲラッパ!ヴォーカリゼーションと、マルセルのどうしようもなく厚かましいゴロゴロベースを中心に据えた弾力性300%のバッキングとの唯一無二の掛け合わせはこの作品で頂点を極めた。前作で問題になりかけていた楽曲の方向性のバラつきがほぼ解消され、<ファンク的グルーヴ×叙情HR>の一点に音楽的主張を特化したことが大傑作に仕上がった最大の理由だろう。その融合度合いは決して一朝一夕になせる業ではない。リズムギターと同等かそれ以上にぶっといベース音が耳に残るってのも凄いことだが、このバランスの悪さこそTALISMANの真骨頂なのだ。

新たな代表曲たる“Tears In The Sky”や“All That Really Matters”も勿論最高だが、本作で特筆すべきは何をおいても間違いなく、“Body”。エロい歌詞と天才的な歌い回しから滲み出す色気と艶、そしてこの圧倒的な疾走感に触れてカラダが動かないロックリスナーは居ないはず。曲間を詰めてアルバム全体のスピード感を高めた外盤は、「GENESIS」発表後の川崎クラブチッタでの熱いライヴの模様を収めた「5 OUT OF 5」とのカップリングになっている親切さ。初心者はズバリこれから攻めましょう。



……以上、簡単ではありますがTALISMANの遺してくれた愛しい愛しい初期4作をレビューしてみました。前にもチラと書きましたが、僕は1983年生まれの日本人メタラーの中でおそらくもっともTALISMANを愛している男なので今回の悲報は正直辛かったです。お疲れ様、マルセル・ヤコブさん。どうぞゆっくりとお休みください。そして本当にありがとう。「こちら側」に残ったジェフは意地でも生き抜かなきゃダメなんだからね!

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2009/07/29 19:55】 | HR/HM 旧譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
こんにちは。今回の訃報はあまりに突然すぎてショックでした…。

流石は「1983年生まれの日本人メタラーの中でおそらくもっともTALISMANを愛している男」むーじゅさんですね。僕が知らなかったTALISMAN結成時の裏事情もあり興味深く読ませていただきました。

僕もTALISMANといえば「LIFE」です。Tears In The SkyとBodyが大のお気に入りで、しばらくリピートしてました。

Marcelのご冥福を祈っております。
【2009/07/30 08:24】 URL | よしよ #-[ 編集] | page top↑
よしよさん、こんにちはー。お久しぶりです。

今回はかなり参りました…。故人と知りあいだったとか、ライヴでナマの姿を見て惚れたとか、そういう直接的な繋がりは皆無だったにも関わらず、です。涙に暮れるというよりも、むしろひたすら空虚な気持ちに陥ってぼんやりとしてしまう、そんな感じでした。なので今回はちょっとセルフセラピーのような意味合いもある記事になっています。

TALISMAN結成時のいきさつなんですが、少々ことば足らずのところがあるのでこの場で補足させてください。1986年にEUROPEを脱退したジョン・ノーラムは87年に1stソロ「TOTAL CONTROL」を発表(僕は残念ながら未聴ですが)、マルセルとヨラン・エドマンはこの作品に参加しています。「プロジェクトが頓挫した」と僕が書いたのは、「TOTAL~」に続いてマルセル&ヨランが協力しようとした幻の2ndソロ作のことなのです。このあたり時系列があいまいな書き方をしてしまいましたね。すみません。

もうひとつ追記を。マルセルと袂を分かったノーラムは心機一転、かのグレン・ヒューズをゲストシンガーに招きます。しかし、92年にピュア・ハードロックの名作にして真の2ndソロ「FACE THE TRUTH」を世に出した名コンビもその時点では上手くいかず、ノーラムはマルセルにくっ付いて例のデモを歌っていたヨランを呼び戻そうとするのです。僕が「板ばさみ」と表現したのはこのような事情によります。2人から求愛されたヨランが思い余ってインギーさんのもとへ走った理由はよく分かりませんが(笑)、結果的にマルセルがジェフと再び手を組んだことが吉と出たのは言うまでもありません。ヨランも個人的には「先生」という敬称で呼んでしまうくらい大好きなシンガーですが、例えば彼が柔らか~い声で歌う“Dangerous”なんかはもう全然デンジャラスじゃありませんからね(笑)。向き不向きってやつです。ちなみにこの辺の経緯は外盤のライナーでマルセル本人が語ったアルバム製作秘話を参考にしています。

名作「LIFE」は複数の音楽性をあまりにも自然な形で融合させてしまっているので、かえって聴き手がその凄さに気づきにくいのかもしれませんが、これぞ前例なき快挙だと思うんですよね。この4thに限らず、誰か一人でもいい、自分の記事をきっかけにTALISMANの稀有なる魅力に改めて想いを馳せてもらえれば、また未聴の方には中古で作品を探して頂ければ、と願いながら書きました。

マルセルは非常に個性的なベースプレイヤーであるのと同時に、極めて有能なソングライターでもありました。B!誌のインタビューなどを読むとちょいと皮肉屋のような印象も受ける彼ですが、その手で作られた楽曲は分かりやすい骨組みにビッグなコーラスを満載したヒット・ポテンシャルの高い作品揃いです。たとえ満足な演奏が出来なくなっても、作曲家として業界に残ればそれこそ引く手あまただったでしょう。マルセルが選ぶべき結論は本当にこれしか残されていなかったのでしょうか。残念です。

【2009/07/30 18:55】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
お久しぶりです。
ゼンキ改め敏紫(さとし)です。

僕もショックで・・・。しばらく放心状態でした。

僕の場合は「GENESIS」です。Comin’ HomeやGive Me A Signはよく聴いていました。「LIFE」も好きなアルバムです。あのファンキーさに虜になっていました。

ほんとに残念です。
【2009/07/30 20:22】 URL | 敏紫(さとし) #-[ 編集] | page top↑
敏紫さん、こんにちはー。

楽曲粒ぞろい、おそらくもっとも一般受けの良いであろう「GENESIS」、対してTALISMANの音楽様式をひとまず完成させた「LIFE」、どちらも掛け値なしの名盤だと思います。僕はVoとBに主に着目してレビューを書きましたが、さりげに印象的なGリフを持った曲が多いのもTALISMANのいいところです。小粋で軽快なTALISMANミュージックのもう一つのキモかもしれませんね。

敏紫さん同様、僕も入れ込んでいるバンドでしたから今回の結末には唖然としました。ナマで見てみたかったです。。
【2009/07/31 16:04】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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