スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 | page top↑
FAIR WARNING (1997) / GO!
fairwarning3rd.jpg 1. Angels Of Heaven
 2. Save Me
 3. All On Your Own
 4. I'll Be There 5. Man On The Moon
 6. Without You 7. Follow My Heart
 8. Rivers Of Love
 9. Somewhere
 10. Eyes Of A Stranger
 11. The Way You Want It
 12. Sailing Home
 13. The Love Song


もうすぐ話題の新譜「AURA」が発売になる独産メロディアス・ハードロック・バンドFAIR WARNING(以下、FW)の3rdアルバムはこのジャンルを代表する大傑作。が、途中からは本作のレビューではなくなっています(笑)。おそらく、現時点での拙ブログ最長文です。

このFWはかつて仙人ウリ・ジョン・ロートのELECTRIC SUN、さらにはその弟である道士ジーノ・ロートのZENO(経緯的にはFWの前身バンド)でベースを弾いていたウレ・リトゲンを中心に結成されており、ロート兄弟のとてもドイツ人とは思えない(←褒めことば)叙情メロディへのこだわりを最高の形で継承したバンドだと言える。そして、彼らが作り上げた5枚の作品の中でもっとも神々しい音像を打ち出したのが本作だ。

デビュー作「FAIR WARNING」の音像を<躍動>、2nd「RAINMAKER」を<奔放>とそれぞれ一語で簡潔に表現するならば、この3rdアルバム「GO!」はさしずめ<爛熟>の一枚。この作品によってFWは稀有なる音楽的個性を完璧なまでに確立し、過去2枚で得た名声を不動のものにした。僕が初めてFWに触れたのもこの作品ゆえ思い入れは非常に強く、冒頭の3曲“Angels Of Heaven”~“Save Me”~“All On Your Own”の流れの恐ろしいまでの完成度は、僕がこれまで聴いてきたHR/HM全作品の「ツカミ」の中でも間違いなく5本の指に入ってくる。オーディオから音がこぼれ出す瞬間に部屋の空気と色がスッと変化するような摩訶不思議な心地よい感覚は、初めて聴いた7年前と何ら変わることはない。

便宜上ハードロックとしているものの、本作の音楽性はむしろどこぞの神様がくだすった聖なるメロディを才能溢れる音楽家がハード&ポップにアレンジしてみました、って表現するほうがしっくり来そう。分厚く荘厳なコーラスがその素晴らしさに拍車をかける。ま、この作品を「ゆったりした曲が多いから」というよく分からない理由で好きになれない方とはおそらく仲良くなれないだろうと思う(笑)。全13曲、パッと聴きではやや地味めの曲にもそれぞれ熱心なファンがつきそうなほどに、楽曲の粒は揃っている。ウレ・リトゲンをロート兄弟を越える天才メロディ・メイカーとして崇める向きが続出してもちっともおかしくない。こと“Man On The Moon”や“Eyes Of A Stranger”のような、料理の仕方によっては退屈に聞こえそうなスローソングでここまで聴き手の耳を惹きつけることが出来る才能は僕のような凡人の理解を超えるところだ。

かつてのZENOに近い音像ではあるものの、マイケル・フレクシグの透明なハイトーンが場合によっては聴き手の腰が引けてしまいそうなほどの崇高さを醸し出していたそちらさんに対して、FWの音をより親しみやすく、またより感情移入しやすい形に上手いこと翻訳してくれているのがFWの看板であるトミー・ハートその人。「Heart」の名に恥じぬ、温かで深みある、伸び伸びと生命力に溢れた逞しい歌唱は絶品。ポップもシリアスもハードもソフトもオールOK。普通すぎるくらいフツーの古典的ハードロックを志向したSOUL DOCTORが残念ながらちっとも面白くなかったこともあって、彼のFW復帰に「ぐふふ」と狂喜したのも懐かしい。やはり彼はウレの編み出すマジカル・メロディを歌い上げるために生まれてきたのだ、きっと。

そして。このバンドのもうひとつのアイデンティティ、ヘルゲ・エンゲルケのスカイギターがカタログ中もっとも美しく繊細に鳴り響いているのもズバリこの作品。天使の笑い声と泣き声をそっくりそのまま音にしたような自由自在の感性が眩しすぎる。いったいどうしたらこんなメロディ運びを思いつくのか…本作でのヘルゲさんは冗談抜きでちょっと神がかっている。様式として必要だから挿入しているお決まりのギターソロとは一線を画す「このソロなしでは楽曲が成立し得ない」名演の大連発。ほうら、あなたもどうぞご一緒に“Come dance, with the angels of heaven”てなもんです。


…が、僕がアルバム単位で心行くまで浸れるFWの作品はここまで。解散前の4th「FOUR」、そして復活作5thの「BROTHER’S KEEPER」ともに佳曲満載ながら、どうしても通しでは集中して聴くことが出来ない。このレビューを書くために5thから1stへ遡る形で聴き直してみたのだけれど感想は変わらず。「GO!」で極めた路線を基本的にはそのまま踏襲しているバンドの妙な安心感が表れてしまっているからかどうか、所々に挿入されたゆる~い楽曲や音像の弛みが僕は気になって仕方ない(単体で聴けば当然悪くないんだけど)。FWが世界でも類を見ない超・個性的な音を出すバンドだということはもうイヤというほどよ~く分かったから、そろそろ1stや2ndには確かに見つけられた「普通のハードロック・バンド」っぽいベタさや、トミーの声質を最大限に活用したあの熱気をいくらかでも取り戻してはくれぬものかと思っているのだが、どうだろう。浮世離れした大らかな神聖路線を聴きたければ、この「GO!」一枚で完全に事足りるから。

それから彼らの足跡を振り返ってみると、バンドにとって意外とセカンド・ギタリストの存在が大きかったのかなあと感じる瞬間がしばしばあった。アンディ・マレツェク個人の資質も勿論この音楽性に寄与していたのだろうが(本作の“All On Your Own”での泣きのソロは180メートル場外ホームラン級の一発だ)、このバンドの場合はツインギター編成だったこと自体に大きな意味があったのではないか。一人残ったヘルゲの演奏は4th以降の2枚ではどうもその表現力が画一化されてしまったというか、麗しきスカイギターの音色だってこうもピロピロと工夫なく濫発されてしまうとありがたみが薄れ、聴き手の自由な想像力をむしろ限定/阻害してしまうのではないかと思ってしまう。この点は再び4人編成で作った新作でもおそらく変わらないだろうなあ。

と、物凄くゼータクな注文を付けつつ、やっぱりFWは最高です。彼らの音楽をまだ聴いたことのない人にはこの3rdか衝撃の1stをまずはお勧めしますが、この2枚に挟まれてやや評価が低くなりがちな2nd「RAINMAKER」も音像の瑞々しさ・着想の面白さという点ではこのバンド随一の素晴らしい出来なので、安値で見つけたらこちらも是非。“Desert Song”から“Pictures Of Love”まで、「曲調が散漫」と批判するには各曲のメロディがあまりに良すぎます。“Don’t Give Up”と“What Did You Find”ではヘルゲの作曲センスも大爆発しておりますよ。



――最後に蛇足ながらどうしても書いておきたいことが。FWに限ったことではないけど、90年代中盤から後半にかけて主に日本を中心に人気を集めたメロディアス系バンドに対する風当たりは今でもけっこう強いようで。僕がよく見かけるのは「BURRN!誌がこうしたバンド群を過剰にプッシュする一方で、当時アメリカで動き出していた新しいメタルの波に乗り遅れたから/無視したから、現在の日本はメタル不毛の地なのだ」みたいな論調。それはある意味で非常に正しく、僕も最近の編集長さんが書いた他人事のような90年代総括コラムには思わず苦笑いしてしまったクチだけれど、それでも「にっくきB!誌」(笑)の瑕疵を叩きたいがために日本人好みの優れた音楽を作っていたバンドまで「お前らも悪い」とばかりにあげつらうのは、最高に恥ずかしくて情けないからマジでやめて欲しいと心から願う。こんな当たり前のことをいちいち言うのもアレだけど、音楽そのものに決して罪はないのだよ。アメリカのメタルシーンの動向がどうとか、各種チャートの推移がこうとか、そうした事象は音楽の持つ魅力とは本質的には何の関係もない二次的・三次的なものなんだから。たとえば、現在では高く評価されているクラシック音楽の大家すべてが、自身の生存しているうちに正当な賞賛と名誉を手に入れていたわけではないものね。

(私見ながら、現在でもB!誌を必要以上に目の敵にするのは、ほぼ間違いなく僕[今年26歳]よりも上の世代の人々だと思う。そう、メタル情報の入手先がB!誌のほぼ寡占状態だった世代。ソースが圧倒的に多様化した昨今にメタラーとなった若い子たちには「B!誌に騙された!」とか「広瀬は嫌いだ!」と思うほどの強いこだわりがないはず。彼らはB!誌もあくまでもソースのひとつ、という極めてドライな感覚でかの雑誌に接しているのではないか。だから僕はB!誌に対する姿勢が顔知らぬネット上のメタラーさんのバックグラウンド[まあぶっちゃけ、年齢の上下]を知る上で大まかなリトマス試験紙的な意味合いを持ちうると考えている。もちろん例外は多々あるけれど)

よって、このレビューはFWやHAREM SCAREM、TENにTERRA NOVAにROYAL HUNTなどなど、かつてビッグ・イン・ジャパンと言われたバンドが全盛時の勢いをほぼ失くしてしまった2000年末から完全なる後追いで彼らの音楽を聴き始めて、その美しさにすっかり魅了されてしまった僕のような人間も居るのだ、というひとつの例証をあげたくて書いたものです。別に私はBURRN!誌にまんまとノセられてFWに夢中になったわけではないのよ、ってこと。良い音楽はいつまで経っても良い音楽ですから。

テーマ:HR/HM - ジャンル:音楽

【2009/05/14 19:39】 | HR/HM 旧譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(6) | page top↑
<<先週のお買い物 (PRAYING MANTIS etc...) | ホーム | USER of a common name (2005) / USER>>
コメント
ナイスな解説ですね~。オイラもつられて2nd聴いちゃいました(´▽`*)
そっか~オイラも4th以降はいまいちのめり込めないなぁと思ってましたが、言われてみれば確かにアンディの不在が響いてるのかもしれませんね。
う~ん新譜も期待しない方がいいのかな...とはいえ初回限定ボーナスCDは欲しいですねぃ(´ω`;)
【2009/05/19 23:13】 URL | 一志 #-[ 編集] | page top↑
FWいいですねーw
3rdは凄く完成されたアルバムだと思います。
1stはバラエティに富んだ曲が多くて凄く魅力的。まだ普通のHRバンドっぽさが残ってますが曲のクオリティが高過ぎです。
2ndはおとなしめですが聴けば聴くほど味が出てくる、中盤にミドルテンポの曲が続くけど、これまた聴けば聴くほど耳に残ります。
でGo!はどこを切ってもFW節。
私も出だしの3曲は神懸かってると思います。
Save Meは大好き。
ただ3rdでFWらしさが確立してしまったからか
4以降は同じように聴こえてしまう曲が多くてアルバム通して聴くとどうも飽きてしまう。
4にしてもHeart On The RunやFind My Way、Still I Believe(何故ボーナストラック?)のような色合いが違っても良質な曲があるんで
曲数絞って1曲に新鮮な色を吹き込んで欲しい。
次の新作も期待できない?
う~む・・・まぁ買いますけど。
【2009/05/22 00:38】 URL | thunder #OARS9n6I[ 編集] | page top↑
一志さん、こんにちはー。

「RAINMAKER」も素晴らしいですよね。1stともどもボーナス付きの日本盤で再発されたときに買いなおしちゃいました。倹約派の僕にしては珍しいことです(笑)。

最近のFWに関しては、ヘルゲのスカイギターの個性が強烈過ぎて楽曲の表情を必要以上に固定してしまっているところがあるんじゃないかなって思いまして。アンディ個人の資質が大きかったのか、単に「2人目のギタリスト」が居たこと自体に意味があったのか…いずれにせよ、僕はもう一人バンドにリードギタリストがいるほうがプラスのような気がしてなりません。

僕はやっぱり新譜買います。たとえいまがどうあれ、僕にとって思い出深き最重要バンドの一つですからね。
【2009/05/22 15:59】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
thunderさん、こちらでもこんにちはー(笑)。

僕もthunderさんとだいたい同じようなアルバム観を持っています。一番好きな1stではなくあえて3rdのレビューを書いたのは、この作品がFWにとってのターニング・ポイントであることが誰の目にも明々白々だからです。僕はこの3rdを<爛熟>の作品と評しましたが、このことば、もともと100%の肯定語ではなく(熟しきったこのあとはゆっくりとした下り坂が待つのみ)という意味が暗に込められています(広辞苑参照のこと)。

果たして新譜の出来やいかに。もちろん買いますが、僕はほとんど期待しないでのんびりと待つことにします。いい作品が出てきたら儲けもの、みたいな心持ちです。
【2009/05/22 16:08】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
私が一番はじめに買ったのは、「RAINMAKER」で、もちろん好きと知っていて買ったんですけど、痺れましたね。で、もっと聴きたくて、次が「GO」です。撃ち抜かれましたw
いやもう、ほんとに出だし3曲素晴らしいのよね。
自分の再生履歴を見ても、数字で出ちゃってますw
Save Meなんか、今でものたうちますよw
私は、アルバムの順序を考えないで聴いていたので、今回非常に勉強になりました。
(単純に GOが5thだと思いこんでいたのは内緒wおそらく「ご」だという理由で orz)
【2009/05/24 22:45】 URL | JMJ #9wbkgK9.[ 編集] | page top↑
JMJさん、こんにちはー。

アルバムタイトルが「THE SUN」とかだったら間違えずに済んだのでしょうけど(笑)。

このアルバムの頭3曲は90年代のHR/HMを代表するインパクトを持っていると確信しています。"Save Me"は最高ですね。レビューを書いたことをきっかけに、改めてその素晴らしさに惚れ直しているところです。
【2009/05/29 17:44】 URL | むーじゅ (mooju, the writer) #-[ 編集] | page top↑
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://mooju.blog121.fc2.com/tb.php/161-74757286
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。