GOTTHARD (2001) / HOMERUN
gotthardhomerun.jpg 1. Wun Ga-Li 2. Everything Can Change
 3. Take It Easy
 4. Light In Your Eyes
 5. Heaven
 6. Lonely People
 7. Eagle 8. End Of Time
 9. Say Goodbye
 10. Reason To Live
 11. Come Along
 12. Homerun
 13. Dirty Weekend

現時点での最新作「DOMINO EFFECT」が大好評だったスイスの英雄、GOTTHARDの5thアルバム。このバンドとの出会いを果たした思い出深い一枚。あれは確か高校3年の春先、この時分だったと思う。

その頃の僕はメタルの師匠だった友人H田から借りたFAIR WARNINGやTEN、TERRA NOVAといった「ザ・90年代メロディックハード(悲しいかな、人気は日本限定)」バンドの傑作群から自分の嗜好がこの辺にあることを自覚し始めていた。そんな自我確立期の僕にグッサリとトドメをさしてくれたのが(?)GOTTHARDのこの作品だったと記憶している。当時の少ない小遣いから奮発して(いま考えるとかなり割高の値段で)中古盤を買ったのでなおさら印象が強い。今となっては何でもかんでもとっかえひっかえ聴いている浮気性のこの身だけれど、この頃の僕は「もう俺の人生はメロディアス・ハードロックに捧げるんだから!」と、誰にも頼まれていないのに勝手に忠誠を誓ってしまうほど純粋で真っ直ぐな青少年メタラーだったわけです(笑)。

それからGOTTHARDと言えば忘れもしない2003年6月25日・渋谷クラブクアトロ、僕の外タレライヴ初体験は「HUMAN ZOO」ツアーで来日した彼らだった。“Where I Belong”が始まる瞬間、バックライトがバンドを青々と照らし出したあの時の感動はきっと一生忘れないと思う。いまは居ないマンディ・メイヤーは立ち姿が実に絵になるカッコいいギタリストだったなあ。あの時はお調子者っぽいレオと観客とで“学園天国”の掛け合いをしたんだっけか。客がギッシリだったO-EASTでの前回公演は“The Call”が最高だったよなあ。。。

……なんて、白昼夢に浸っている自分の暑苦しい思い入れはさておきそろそろレビューを。文字通りの硬派なハードロックを名作「G.」でいったん極めたGOTTHARDは、アコースティックの企画作「D-FROSTED」の予想以上の好評を受けてバンドのポップ化を推し進めることに。その中期三部作の第一弾である前作「OPEN」はアルバム後半の弱さが少々気になるけれど(と言いつつ、この作品は至高のバラード“Let It Rain”1曲でお釣りがくる)、ボーナス込みで全13曲とボリュームをやや控えた第二弾の本作「HOMERUN」は捨て曲なしと断言できる充実の一枚に仕上がっている。「OPEN」同様、ゲストの優しげなKeyが大活躍する音像はハードロックと言うのが憚られるほどポッピィで柔らかく、当然バラードもてんこもり。ダイハードなメタラー諸兄の多くは眉をひそめそうだが、そういった表層的な部分で音楽の価値を判断しない心あるリスナーさんには何をおいてもお勧めしたい逸品なのです。

ジャケのブーメランがシュルシュルと飛翔するイントロ“Wun Ga-Li”を経て爽やかに流れ出す“Everything Can Change”の最初10秒でもう涙目。思わず首が横に動き出す楽しいカヴァー“Take It Easy”、ワウペダルを巧みに取り入れた哀愁ハードポップの理想系“Light In Your Eyes”、味わい深いアコースティックで唸らせる“Lonely People”と、ヴァラエティ豊かな楽曲が決して聴き手を飽きさせない。ライト路線の本作では相対的にかなりヘヴィに聞こえる“Eagle”と“End Of Time”も中盤の重石として効果的に機能。そして…“Say Goodbye”~“Reason To Live”~“Come Along”~“Homerun”の素晴らしき流れにもうことばは要りません。ただただ浸ってください。日本盤ボーナスの“Dirty Weekend”は作品中もっともハードロッキンな嬉しいオマケで、“Homerun”の余韻から意識を「こっち側」に持ってくるためのアンコールとして最適。なんだ、完璧じゃん。

さて、お待たせしました。誰かに突然「お前さんのもっとも好きな歌い手は誰ぞや?」と尋ねられたならば、おそらく真っ先に思い浮かぶであろうスティーヴ・リーこそがバンドのアイデンティティにして命。彼とレオ・レオーニ(G)を中心に「欧:米=8:2」くらいの普遍性重視で作られた楽曲、そして堅実一路なバンドの演奏は決して個性的とは言えないけれど、その上にスティーヴの声が乗っかれば一発で「そうそう、これがGOTTHARDなのよ」と思わせてくれる象徴的存在なのだ。ZEPの「移民の歌」だって余裕でカヴァーしてしまうほどの基本的な歌唱力の高さは言うまでもなく、どんなタイプの曲を歌わせても決して損なわれることのない包容力溢れる温かな声質、ここ一番の決め所で張り上げる声の絶対的な力強さ(「G.」の“Let It Be”を聴いてみて欲しい)、強弱と濃淡の加減で聴き手を自由に微笑ませたりホロ泣きさせたりできる豊かな感情表現、平明な歌詞を織り成すことばのひとつひとつをしっかりと聴き手の耳に焼き付ける絶品の節回しと、何を見てもどれを取ってもどう考えても、これぞロックヴォーカルの最高峰。もしもこの人の歌を聴いたことのないHR/HMリスナーがいたら、「あなた、それはちょっと人生損してますよ」と余計なお世話を焼きたくなるくらい。ま、ここに収められた代表曲“Heaven”での彼のパフォーマンスに触れて何も感じるところがなければ、残念ながらGOTTHARDとは御縁がなかったということで。ちなみに僕は初っ端の一節“Show me the way to your heart~”の“heart”のところで毎度毎度死んでしまいます。伝わりますか?(笑)

7thの「LIPSERVICE」、そして続く「DOMINO EFFECT」で遂にハード路線への回帰を果たした彼らだが、その音像が初期三部作のそれとはまた違った深みを醸し出しているのは、「OPEN」から「HUMAN ZOO」にかけて挑んだ大衆向けの洗練化という過程を経たからこそ。「DOMINO~」を契機にようやくその圧倒的な地力に比例した人気を日本でも得ようとしている彼らの輝かしい足跡にもっともっと光を当てて欲しい、という切なる想いを込めて書きました。この「HOMERUN」こそ、僕が間違いなく彼らのカタログの中でもっとも愛しているおおらかな叙情ハードポップの大傑作です。晴れの日も雨の日も、爽やかな朝の目覚めにも、こっそり泣きたい日にもじんわり癒されたい時でも、これ一枚あればオールOK。で、気に入った方はぜひ次の「HUMAN ZOO」もよろしく!さらにスケールの大きくなったこっちも最高の中の最高ですよ!

【2009/04/20 18:53】 | HR/HM 旧譜レビュー | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
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コメント
あ~オイラも大好きな珠玉の名盤ですね~(≧∇≦)
先に書かれちゃいましたか(笑)
老若男女を問わずオススメできるメロディアスハードの最高峰。確かに聴かなきゃ損ですね(・∀・)"HOMERUN"はあらゆるバラードの中でもNo.1じゃないかな~とさえ思うのです。
【2009/04/20 20:09】 URL | 一志 #-[ 編集] | page top↑
一志さん、こんにちはー。

これぞまさに老若男女を問わず、一家に一枚ってな名作ですよね。“Homerun”はメロディにも歌詞にも深みがあるし、中盤のコラージュ部分もGOTTHARDの集大成!って感じがしてグッときます。バラードベストではこのパートは削られているのですが、僕はオリジナルのこちらのほうが好きですね。強い強い思い入れがありますから。

どうやらこの名盤、日本では生産中止なのだそうです。なんという音楽的損失。。。未聴の方はぜひ中古盤でお探しを。
【2009/04/22 16:11】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
私もGOTTHARD大好きです。
2ndから出る度に買い続けてるのですが
ほんと、このバンドは裏切りません。
当時同時に買い出したバンド達は次々に萎んでいってしまいました。
ファイヤーハウスとかフェアウォーニングとかハーレムスキャーレムとか・・・
そんな中で今でも常にハイクオリティーなHRを聴かせ続けてくれている稀なバンドです。
確かに4枚目で毛色が変わりましたよね。
当初はエッ?とか思いましたが今思うと、これが大正解だったのではと思います。
楽曲のセンスや演奏の上手さ、どれを取っても一流ですよね。スティーブの声もカッコよすぎです。
しかしそんなアルバムも廃盤になってしまってるとは・・・やはりこの手の音楽は少数派なのでしょうか。。。日本になかなか来てくれなかったのもわかる気がします。
昔、日本での知名度が無い頃(今でもないですが)アンディ・フグがMighty Quinnで入場してきた時は、スイスでは噂通り売れてるんだーと何か嬉しかったのを覚えてます。
【2009/04/23 01:56】 URL | thunder #OARS9n6I[ 編集] | page top↑
"HOMERUN"の中盤のコラージュ部分・・・僕は勝手に"走馬灯"パートって呼んでます。聴いた時思わず「最終回かい!」って突っ込んじゃいましたよ(笑)
この感動部分、バラードベスト「ONE LIFE ONE SOUL」でもベスト盤「ONE TEAM ONE SPIRIT」でもカットされてるんですよね~(`ε´)
バラードにおける実力はもはやロック界最強ではないかと思うのですが・・・なんで日本では知名度低いんでしょうね(´ω`;)
【2009/04/24 07:23】 URL | 一志 #-[ 編集] | page top↑
thunderさん、こんにちはー。

そうですね、彼らは長年にわたって信頼できる音楽を作ってきてくれた息の長い優れたバンドですよね。僕もリアルタイムで聴いていたら「G.」から「OPEN」への変化にはギクリとしたかもしれませんが、長い目で見ればこれも確実にいい方向に働いたわけで。もっともっと日本でも支持層を拡大して欲しいものです。まだまだ実力に見合った認知を得ているとはとても言いがたいですから。

本国スイスでの人気と言えば、ライヴDVDの「MADE IN SWITZERLAND」はご覧になりましたか?まさに人・人・人の巨大アリーナでのショウは圧巻の一言です。国民的ロックバンドという称号は間違いなく本物ですね。
【2009/04/27 10:53】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
一志さん、こんにちはー。

走馬灯って(笑)。じゃあ僕らの葬式の際にはこれをかけてもらいましょうか。

彼らのアルバムにはほぼ確実に必殺級のバラードが入っているので、それだけを目当てに買っても損しませんよね、ホントの話。どっかのドラマかCMに使われたらバカ売れしそうな気がするんですけど。最近で言えば“Have A Little Faith”とか“What Can I Do”、“The Call”あたり。

「すぽると!」でIT BITESが流れるくらいなんだから(ビックリしました)、GOTTHARDを使ってくれてもバチは当たらないと思います(笑)。最近はメタル関連をTVで耳にする機会が増えたような。
【2009/04/27 11:07】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
はじめまして、ゼンキといいます。
よしよさんのブログのリンクからきました。

僕も「Heaven」のむーじゅさんと同じパートで死んでます。何度も何度も(笑)

スティーヴ・リーはかなりリスペストしています。ほんとにいい声してますよね。
かっこよすぎ。

彼らのバラードを聴きたいがためにアルバム買っているようなものです。
それ聴いて“泣きたい”ってのもあって。

もっと日本でも評価されてほしいです。
【2009/05/04 12:37】 URL | ゼンキ #-[ 編集] | page top↑
ゼンキさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

ブログをちらりと拝見しましたが、ゼンキさんもよしよさんや僕と同様に、メロディックメタル/ハードロックを主に愛好されているリスナーさんのようですね。僕もHAREM SCAREM、TALISMAN、TERRA NOVA、FAIR WARNINGなどなど大好きっ子なんですが、特にゼンキさんがTALISMANの「GENESIS」を取り上げていたのはしみじみと嬉しかったです。

“Heaven”のあの“Heart”、グッときますよねー。他の誰でもなく、スティーヴ・リーという稀代の歌い手だからこその感動だと思います。彼の実力は非メタルな一般層はおろか、同好の士たるメタルリスナー諸兄にさえまだまだ十分に認知されていないような気がして、大ファンの僕はずっと歯がゆい思いをしています。

のんびりマイペースで気ままに書いている適当極まりないブログですが、折を見てまたいつでもお越しくださいね。お待ちしています。
【2009/05/04 17:00】 URL | むーじゅ #-[ 編集] | page top↑
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